【朔間零】〜1〜 ページ5
【朔間零】
「何故、どうしてなんじゃAよ。」
父は悲痛な声で私に訴えると、その場に倒れこんだ。
「我輩の娘なのに、どうしてそんな悪魔のような旋律を奏でることしかできんのじゃ。」
『とっても失礼なんだけど。』
私は吹いていたリコーダーをさっさとケースに仕舞いこむと、全ての鬱憤を晴らすように、目の前の紅茶を飲み干した。
事の始まりは一時間前に遡る。
私は来週行われるリコーダーのテストのために、家に持ち帰って練習していた。
すると、仕事で滅多に帰ってこれない父が珍しく帰宅したのだった。
リコーダーを抱える私を見て、是非とも演奏を聞かせて欲しいと頼まれたので、お望み通り課題曲を演奏してあげたのだ。
久しぶりに見る父の前で演奏するのはとても緊張したが、結構上手に吹くことができたと思う。
大きな手で撫でられて、すごいねって褒めてもらいたくて、目を輝かせながら、父を見た。
しかし、私がその時みた父の顔は、娘への慈愛に満ち足りた表情なんかじゃなくて、顔面蒼白の、まるでこの世の終わりでも目の当たりにしたような絶望的な表情だった。
暫くしてようやく我に帰った父は、あろうことか私の演奏に酷評をつけはじめた。
頭にきた私は、課題曲を何度も何度も、父が納得するまで演奏し続けた。
何故か、私が演奏を重ねるたびに父の私の演奏に対する評価は下がっていく。
そして、今に至る。
「我輩、これでも軽音部の部長だったのに…。Aだって、小さい頃はこんな酷い演奏じゃなかったのに。」
『い、今と昔は違うものでしょ。』
「ラブリーエンジェルAたんなのは変わってないのに…。フェアリーエンジェルなのに」
『ラブリーでもフェアリーでもないから!』
なんとなく、今は父と一緒にいたくないのと、演奏を否定された恨みが合わさって、私は部屋を後にした。
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らんちゃん - 深海くん最高でした、、、!! (2018年3月26日 17時) (レス) id: 5da59bc768 (このIDを非表示/違反報告)
ニカ姫 - あんスタの桃季君大好き (2017年6月4日 16時) (レス) id: 39e38305d9 (このIDを非表示/違反報告)
レイア(プロフ) - ヤバイです!ハマりました!!もう部屋の中で一人発狂してました(笑)更新楽しみにしてますね!! (2017年3月29日 3時) (レス) id: f480fe51c3 (このIDを非表示/違反報告)
アクアリウム(プロフ) - お帰りなさいです!めっちゃ更新、続きを楽しみにしていたので帰ってきてくれて嬉しいです!これからも応援してます! (2017年3月27日 18時) (レス) id: 8d5de3cdea (このIDを非表示/違反報告)
しょこらて - たくさん応援メッセージやリクエストありがとうございました(;_;)皆様の温かいコメントは、本当に心の支えになったし、嬉しかったです。これからもあんさんぶるパパーズをよろしくお願いします。m(__)m (2017年3月20日 23時) (レス) id: 7a983a56c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しょこらて | 作成日時:2016年3月6日 18時