あんさんぶるパパーズ！【短編集】

【月永レオ】〜2〜 ページ24

〜1〜のつづきです。


「A！可愛いお前にパパが教えてやる！いいか、宇宙人と出会ったらな、こうやって挨拶するんだ！うっちゅ〜☆ほら、お前もやってみろ！」

『うん！うっちゅ〜！』


幼い頃の思い出。

久しぶりに帰ってきた父と一緒に、夜遅くに宇宙人と交信する練習をしていた。

ちょうどその時流れ星が流れて、宇宙人が返してくれたと騒いでいたのはいつの話だったか。


もう、あの頃には戻れないのだろうかー…。

いつかもう一度宇宙人と交信しようって、約束、したのに…。




ピピピピピピピピ…


『んっ…？』


鳴り響くアラームの音で、目が覚める。

この音は昔から嫌いだ。

夢という妄想や想像に溢れた素晴らしい空間から、強制的につまらない現実へと意識を引き戻す。

実に面白くない。

どうせだったら、もっと楽しい世界へ呼び起こしてくれればいいのに。


そんなことを考えながら、ふと、今日見た夢の事を思い出す。

なんだか、懐かしい夢をみていたような…？


『うーん…、思い出せないや。』

覚えてないということは、きっとそこまで重要な夢じゃなかったのだ。

気にしないでおこう。


適当に着替えと朝食を済ませたあと、暇だった私はテレビを見ながら寛いでいた。

今日は休日なので、これといってすることがないのだ。

何か面白い番組やってないかな…。

そう思いながらチャンネルを回していくと、あるニュース番組が目に留まった。

最初はなんとなく、暇だったから眺めていただけだったが、ある特集の欄を見た瞬間、私の心臓はドキリと高鳴る。

特集の欄には、熱愛報道や明日公開される誰かの記者会見などの情報が掲示されていたが、私の目を引いたのはそれらじゃなかった。

欄の、一番下。

そこに書かれている、『月永レオ、5年ぶりのアルバムリリース。』の文字。

父は芸能人兼作曲家なので、こうしてニュースの話題に出てくる事も、珍しくないのだろうけれど。


ポケットからスマホを取り出し、急いでニュースをチェックする。

すると、ネットでもかなり話題になっている様子だった。

五年ぶりの発売記念イベントらしきものに、父だけじゃなく、knightsの人達もゲストとして登場するらしい。

これは、イベント会場が大混雑するだろう

ようやく、父に会えると思ったのに。

この様子では、チケット確保どころか、人混みに耐えきれるかも分からない。

絶望に打ちのめされそうになった、その時。

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