過去ー単純な理由ー ページ15
「ねぇ……榊原って、婚約者とかいる?」
時は数分前に遡る。
「それで、話って何かな?赤羽さん」
「そんなに急かさないでよ。心の準備が必要なんだから」
「告白じゃないんじゃなかったっけ?」
「そうよ、告白なんかじゃないわよ、断じてね」
「じゃあ何で心の準備なんか?」
「もうOK、言えるわ。」
それで、冒頭の台詞に戻るわけだ。
「……は?何でそんなこと……」
「いいから答えて。私の人生がかかってるの」
「……いない、けど……」
「あー……よかったぁ、これでキザなチャラ男と結婚ってエンドは免れたー」
「どう言うことだい?」
「んー、ここまで聞いたわけだし、最後まで話すわ。私には親同士が決めた婚約者……つまりは顔も知らない許婿がいるわけ。」
「それで、僕がそうではないかと?」
「うん。結果、全っ然違ったわけだけど」
「何故?」
「私の母親曰く、頭が良くて顔もかなり整った人らしいから」
「それで、僕は君の求める条件に合ったってわけか。光栄だよ」
「そうね、悔しいけど、あんた顔と成績だけはいいし」
「でも、この椚ヶ丘中学に入学できている時点で、相当頭はいいだろうに」
「そうね、けど」
「けど?」
「私の許婿って、この椚ヶ丘でもかなりの成績優秀者らしいから。私がここに入ったのも、許婿を探すため。同い年で、ここに入るって聞いたからだもの」
「だとすると他の候補者は?」
「一応、残り二人ね。元々あんた含め三人しか思い当たらなかったわ」
「それで一番嫌な僕に最初に確認した……そんなところかな」
「よくわかってんじゃない」
学秀side
Aに……許婿……?まさか……彼女が僕の……許嫁なのか……?どういう悪戯だ……
「学……秀?どうしてここに……」
「ただの通りがかりだ。それより、許婿探しは進んでいるのか?」
そう、本当に通りがかりだ。理事長室に行く途中の。
「聞いてたの。いいのよ、榊原じゃなかっただけ、収穫あったしね」
「……そうか」
「どうかした?顔、青いけど」
心配そうな表情で覗き込むA。何故か急に、顔に熱が集中する。いや、理由は単純……か。前々から意識はしていたはずだ。気付くのが遅かっただけで。……ああ、僕は……A、君が好きだ。……認めてしまえばもう、嘘のつきようがなくて。
「覚悟しておけよ」
「……え、何……?何なの一体……」
必ず君を、僕のものにしてみせるから。僕以外、考えられなくしてやる。
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リルム - ありがとうございます!更新、遅いですが頑張ります! (2018年1月18日 21時) (レス) id: 7020156455 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた - 続き、楽しみにしてます!頑張って下さい!これからも、応援してます!! (2017年12月11日 3時) (レス) id: 37009b37c4 (このIDを非表示/違反報告)
リルム - ガラスの破片さん» ありがとうございます!私も変換ミスとか結構するので書くときには注意していきますね…(汗) (2017年12月1日 21時) (レス) id: bf862feefa (このIDを非表示/違反報告)
ガラスの破片 - 隊長になってた(*´>д<) (2017年11月13日 21時) (レス) id: f43e2c4374 (このIDを非表示/違反報告)
ガラスの破片 - 百合さんに凄く同意です!!主さん、冬になってきたし、隊長にも気を付けてください(^^)楽しみ(*n´ω`n*) (2017年11月13日 21時) (レス) id: f43e2c4374 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リルム | 作成日時:2016年5月24日 16時