らくだい魔女と両思いのち片思い～奇跡が起こる瞬間に～ (ページ41)

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決意は、正か、歪かページ41

カイトside

床を蹴って走り出す。ただ、前だけを向いて。

カイト「意味なんていらない。絶対、守る。彼女だけは、僕の何に代えてでも守るって決めたんだ…！」

剣を振る。それと同時に魔法も発動させた。

ベネス「……っ！？」

魔法で火を纏わせた剣とベネスの剣がぶつかる。

力をこめて押し返せば、ジジッとベネスの髪が焦げる音がした。

汗が頬を伝って床に落ちる。ただでさえ非日常な動きに体が火照っているのに、自分で出した火の熱によって更に暑くなった。

ベネスの額にも汗が浮かび、顔を歪めている。しかし、まだ挑発するように口を開いた。

ベネス「何に代えてでも、か。ふっ……決意(そんなもの)のために命まで賭けたお前程、その言葉に報いているものはないな。」

ハッと鼻で笑って剣を払う。言葉とは裏腹にその手は汗ばんでいるのか、剣が滑りかけていた。

戦闘中に何度も噛み締めたせいで、口の中に血の味がする。

その味を飲み込むように喉を鳴らして、もう一度剣を構えた。

カイト「……どこまで分かっていて行動した？」

ベネス「父親を舐めるなよ。お前のような者の粗末な考えなど見通すまでもない。」

ニヤリと嫌な笑みを口許に浮かべて、ゆっくりとした動作で首に手をあてる。

そのまま、引き抜くように首から下げていたチェーンを取り出した。

その、チェーンの先に。

カイト「っ……！」

ベネス「だから愚かだと言ったのだ。」

くくりつけられていたのは。

ベネス「根本的に、私がお前に与えた情報の中で、お前が私に逆らうことのできるものなど虚偽に等しい。」

紅く光る大ぶりの宝石。

ベネス「お前の覚悟は甘いんだよ。」

……

……

……

……この国と魔法界を繋ぐ、魔石と呼ばれる物だった。

＊