らくだい魔女と両思いのち片思い〜奇跡が起こる瞬間に〜

弱き者 ページ40

カイトside



ベネス「あの姫になぜそこまで肩入れする？お前にとってあの姫を守ることになんの意味がある？」



試すような声色で問われる疑問。









フウカを、守る意味──。それは、僕自身が一番知っていて、一番認めたくないもの。



自分の表情がどんどん歪んでいくのが分かる。それに比例するようにベネスの口端が上がっていく。



ベネス「何だ、答えられないのか？それとも……答えたくないのか。」



煽るように問い続けるベネスに今すぐ斬りかかりたい衝動に駆られる。



けれど、怒りに任せた刃は脆く、簡単にいなされるもの。



理性で無理矢理怒りを押さえつけ、ゆらりと体を起こした。







僕が、フウカを守る意味。それは──。








『自分自身を守るため。』








認めたくなんてなかった。ただでさえ弱い自分を、"弱い"と認めることになるのだから。




それでも。幼い頃の僕に残された、唯一のものにすがりたかった。




たった３つしかない、僕にとって"大切なもの"。




それを１度に２つ無くした僕にすがれる、たった１つの光だった。




１度無くしたものを取り戻すのは至難の技だ。




ならば、せめて。




今ある大切なものを、何があっても守ろうと。




人の優しさすらまともに受け取れなくなった臆病な僕に、唯一受け取れる幸せを与えてくれた少女を。




僕の何に変えてでも、守ると決めたんだ。






＊

決意は、正か、歪か→←vs

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