らくだい魔女と両思いのち片思い～奇跡が起こる瞬間に～ (ページ11)

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温もりページ11

フウカside

聞き慣れた声に、一瞬幻聴でも聞いちゃったのかなって、思った。

でも、あたしを包んでいる暖かな温もりは消えなくて……それどころか更にギュッと強く“抱き締められた“。

抱き、締め……そうだ、抱き締められてるんだ。さっきまでなかった…ないって嘆いてた温もりが、そこにあった。

恐る恐る目を開ける。そこには、さっきまで見えてた薄灰色じゃなくて、見慣れた、大好きなライトグリーンと、これまた見慣れた、憎たらしいやつの群青色の髪と、白いシャツ。

ふるふると、視界の半分を覆うライトグリーンが揺れた。

「フウカちゃん……っ！」

フウカ「か、りん？…カリン？」

カリン「フーカちゃん！！」

あたしよりも震えている声で、ギュゥッと力強く抱き締められる。

あたしはまだ現実を受け入れられない頭で、ぐるりと辺りを見渡した。

フウカ「チトセ……カイト？」

ガートの剣をギリギリで受け止めていたのは、チトセ。

あたしの目の前で、歯を食いしばってガートを睨み付けていた。

そして……ベネスが動けないようにその首筋ギリギリに切っ先を突きつけているのは、

カイト。

カイト「フウカ……無事で良かった。…いや、遅くなってごめん。」

あたしを見て申し訳なさそうに１度顔を伏せるカイトに、

ベネスの義息子に向けるものとは思えない程冷たい声が向けられた。

ベネス「お前……自分の義父親に何をしているか、分かってるのか。」

カイト「……最後にあんたを義父さんだと思ったのなんて、いつか忘れるほど昔のことだよ。」

ベネス「…あれだけ『従え』と教え込んでいた筈なのだがな。」

義理とはいえ到底親子の会話とは思えない冷たいトーン。

あたしがつい二人の会話に割って入ろうとしたとき。

視界の端で、チトセがなにか、小さな石のような物を取り出したのが映った。