らくだい魔女と両思いのち片思い～奇跡が起こる瞬間に～ (ページ10)

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刃と死の覚悟ページ10

フウカside

ヒュっ…と、息を飲む。サァァーと一気に顔から血の気が引いていくのを感じながら、あたしは自分に向けられた刃先に目をやった。

キラリと光るその切っ先はまっすぐあたしに向けられていて、その剣には錆び１つない。

ガートが、ニヤリと口角を持ち上げる。ゾッと、なんて言葉ではもう足りなくなった恐怖で、体がすくんだ。

嫌だ……嫌……まだ、死にたくなんてない……まだっ……！！

頭では動け動けって、逃げろって、ちゃんと分かってる筈なのに、体はいうこと聞かなくて、心臓もバクバクなるだけで息が吸えない。

あたし、ここで、死ぬの……？こんな、どこにいるのかすら不確かな、冷たい牢屋みたいな場所で……？

場所とか、そんなことより、今、死ぬの？まだ、まだしてないこと、沢山あるのに？

……イヤッ！こんなの、絶対嫌だっ！

って、そう思っても近付いてくるガートのスピードは遅くなんてならない。

ツカツカと、確かに近付いてくる。ガートの足が、あたしの目の前で止まった。

鋭く冷たい剣先が光って、ガートの真上辺りまで持ち上げられる。

そして───。

シュッと、空気を切る音。あたしはギュッと目を瞑った。

死ぬ！って覚悟した、時。

ふわりと、どこか懐かしい、暖かな温もりに包まれて。

ガキィィィイイイン！！！と。重たい金属同士がぶつかる音がした。

「ギリッ……ッギリじゃねーか……！！！」

「間に合ったんだから今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ！」

最後に聞いたときからそんなに経ってないはずなのに、物凄く懐かしい声が、聞こえた。