ページ ページ6
「あなたは、シリウス・ブラック殿ね。ブラック家の御嫡男の」
「シリウスでいい。ブラックは嫌いでね」
不機嫌に、吐き捨てるように言ったシリウスに、マリアは肩をすくめて、その後にまた微笑んだ。こんな失礼な態度を取っていると言うのに、なんて心の広い子なんだろう。
それにしても、マリアは事実確認しただけなのに、なんて嫌な男。
「君たちはどこの寮に入るの？僕は当然、グリフィンドールだけど」
「俺も、グリフィンドールだ」
「は、あんたはスリザリンでしょ。おば様に怒られるわよ」
「そんなこと知るかよ。俺は俺のやりたことをするんだ。純血っていう埃を払いのけてやるのさ」
言ってることには同意だが、あのブラック様が実際にグリフィンドールなんかに入るわけがないだろう。勘当が待ち受けているのは違いないのだから。
争っている私たちを、ジェームズ・ポッターはちらりと見ながら、マリアに「君は？」と問いかけた。彼女はやはり少し微笑んで、口を開く。
「私はスリザリンよ」
それを聞いて、ポッターは顔を歪める。まるで軽蔑したようにマリアをにらみ、そして立ち上がった。
「げぇ、君は話のわかる人だと思っていたけど、どうやら違うようだ。あんな根性の曲がれ腐ったスリザリンに入るだなんて」
「ちょっと」
「本当だ。きっと俺らとは感性が違うのさ。信じられない考えだな、ジェームズ」
「シリウス。あんたね」
「今の間に考え直したほうがいいよ、マリア。君はきっと後悔することになるだろうから」
そう言って二人はコンパートメントを去っていく。私はそんな二人をにらんだ。彼らはマリアが、シャフィク家の子だとは知らないのだ。
「ごめん」
「謝る必要なんてないのよ。考え方は、人それぞれだもの。それに、なんと言われようが、私のこと。気にならないわ」
「でも、」
「いいの。メアリア。そんなことよりあなたは、どの寮に入るか決めてる？」
「私は……まだだけど」
さっきのさっきで「グルフィンドールに入る予定なんだよ！」なんてとても言えず、私はマリアにそう返す。すると彼女はそう、と言って、窓の外を見つめた。
やはり、絵画に出てくるような美女だと、勝手に思う。
「あなたがいたら、きっと楽しいわ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 18人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんころころもち | 作者ホームページ：
作成日時：2020年8月7日 0時
