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1章ある街にて 6話 ページ7

私は、飲み干した空のポットをコトっとテーブルへ置く。

随分と肩の力が抜け気がした。

まだ、モヤモヤとした何かは残っているが自分の中で、何か吹っ切れたような気分にもなる。


その時だった。


ドドドドドという地響きが聴こえたかと思うと、地震のような揺れが襲う。

家の家具や窓がカタカタと音を立てて揺れ、テーブルに置いてあったポットは、ガシャンと音を立てて落下した。

急な揺れのせいで私もバランスを崩し、その場にしゃがみ込む。


ドドドドド……ドドドドド…ドドド


揺れは止みそうにない。


「Aさん!!大丈夫!?」

キッチンから飛び出したアリイさんが、私に駆け寄る。

「はい…でも、この揺れは…」


…嫌な予感がする。

一体なんだ…私は何をこんなに怯えているんだ。


「私にもわからないわ…きゃあ!!」


不意に、揺れが強くなり、側にあった本棚から本や雑誌がばさばさと落ちる。

とっさに私はアリイさんの手を引っ張り本がぶつからないように覆い被さる。


ドサドサドサッ…


「っ…」

肩や背中に本が当たる。

ハードカバーの重い本が落ちてくると、流石に痛い。


「Aさん!?
ご、ごめんなさい!!
怪我してない!?」


揺れが穏やかになると、アリイさんが私に声をかけた。


「大丈夫です…っ、とにかく、ここから離れましょう。
テーブルの下に潜って!」


私は素早く起き上がって、アリイさんと一緒にテーブルの下へと潜る。


「おい!!アリイ!A!大丈夫か!?」

トルトさんが、私たちのいる場所へと駆けつけた。

「あなた…っ、まあ!!怪我してるじゃない!!」

やってきたトルトさんは右頬に何かから切られたかのように赤い筋が入っていた。

そこから血が流れている。

「あぁ、ここに来る途中、切れてしまったみたいだ。
でも、この傷だけだ。
どこも心配ない。」

「よかった…」

アリイさんがホッと胸をなで下ろす。

その間にも、まだ揺れは続いている。


地震ではない。

まるで、地面が震えるような地響きだ。


なんだ…なんなんだ、この胸騒ぎは…

私は…この揺れを知っているのか?

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設定タグ:D.Gray-man , 神田ユウ , Dグレ   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:樹乃 | 作成日時:2016年10月3日 17時

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