look for you 【D.Gray－man】 (ページ19)

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2章白髪の彼と私 6話ページ19

…きっと、この腕のことで今までも辛い思いをしてきたんだろう。

人は、他人と違うことがあると不安になって、所詮は他人と同じでありたいと願う集団的な生き物だ。

ほかの人に無いものがある事は、武器でもあり、同時にコンプレックスにもなる。

社会で生きるというのはどれだけ自分という人間を、平均的な人間に出来るかなのだ。

そして、それは自分と同じという仲間意識から成り立つもの。

誰1人として、自分と同じ人など存在しないのに、他人に自分と同じ価値観を見出したくなる。

私は、今まで、その腕のことで何があったとか、どうしたとか、そんな事は一切知らない。
だからこそ、見た目で一瞬でも、触れることを躊躇してしまった私は、そんな私自身にとても腹が立った。

とても軽率な行動だった。

とても小さなことだって、相手にとってはとても大きなことだったりする。

｢…強いね、アレンは｣

ぽつりと零れた言葉。

自分でも気づかないうちに出たその言葉は、私自身に向けられた言葉のような気がした。

私は弱くて、逃げてばかりで、取り繕ってばかりいて、強がりなフリをしていた、私自身への。

｢そんな事ないですよ｣

未だに握られていたその手を、アレンはギュッと握り返す。

そしてにこりと微笑んだ。

｢この前も、ジャンから弱そうって言われたし…(汗)｣

困ったように笑うアレン。

違うよ。

私が言ってたのはそういう事じゃない。

力の強さじゃなくて、心の強さなんだよ。

そんな言葉が口に出せるわけもなく、私は一緒になって笑った。