2章白髪の彼と私 5話 ページ18
あぁ…腕取れるかと思った…←
やっとのことで開放された私はまだ少しじんじんする手をひらひらさせる。
「でもさ、Aって女の子っぽい名前だよな」
「えっ!←」
ジャンの突然の発言にドキリとする。
「コラっ、ジャン、いい加減にしなさい!」
ポカッとジャンの頭を軽く叩くアレン。
いや、別にいいんですけどね。
女の子っぽいとかむしろ嬉しい…
てか本当は私女だし←
ただ、みんな私の第一印象男だから一々説明も面倒臭いし、なにしろここに自分が存在していること自体が曖昧だから、この世界では“ボク”と言って、自分が男であることに決めた。
そう、ついさっきにね←
「でもでも!
珍しい名前ってことには間違いないだろ!」
そう言って、アレンをキッと睨む。
「だからと言って、そういう事言うのはダメです!
Aは
…うん←
ここまではっきり言って下さると、もう女だって言えないわ←
「えっと、僕からの自己紹介がまだでしたね。
知ってると思うけど、アレン・ウォーカーです。」
そう言って、怪我をしていない方の腕。
そう、普通じゃない方の腕を差し出した。
そりゃあ、怪我をしている方の腕で握手なんてできないから当たり前だけど…
実際に間近で見るそれは、昨日思った以上に痛々しい見た目で、一瞬だけ、手を握るのをためらってしまった。
「あ…やっぱり嫌でしたか?」
そう言って、「すみません…」と言ってぱっと手を離したアレン。
「そ、そんなことないです!
本当に!!
ただ単に興味があったっていうか…気持ち悪いとか、触りたくないとか、そんなんじゃないんです!
ボクこそごめんなさい!!失礼します!!←」
そう言って、話されてしまったアレンの左手を両手でぐっと引き寄せ、先程自分がジャンからされていたように、激しくブンブンと振った。
「えっ!?A!?
って、痛いです(汗)!!」
私の行動に最初は戸惑っていたアレンも、しばらく立つと、今度は離さずに優しく私の手を握り返した。
「ありがとうございます、A。」
そう言ったアレンの顔はとても穏やかで、見とれてしまうくらいに綺麗だと思った。
2章白髪の彼と私 6話→←作者より ※本編とは関係ありません
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作者名:樹乃 | 作成日時:2016年10月3日 17時