【御幸一也の独白】★ ページ5
※御幸視点
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「…ふわぁ…」
マネージャー室で過去のスコアブックを捲っていると、スコアの細かい修正をしていたAさんが欠伸をした。
顔を上げると、ゴシゴシと目を擦っている。
「…眠そうですね。」
「んー…昨夜漫画読んでたら止まんなくなっちゃって…」
「今日はもう帰ったらどうですか?」
「うん、これ終わったら帰る。」
そう言ってまた修正を始めるAさんから、俺も手元のスコアに目を戻して…約5分後。
「…あーあ…」
机に突っ伏してスースーと寝息をたて始めたAさんに、俺は複雑な気持ちでため息をついた。
少し考えてから、静かに立ち上がって移動し、Aさんの隣のイスに座る。
「…状況わかってます…?」
片手で机に頬杖をついてそっと話しかけてみるけど、起きる気配はない。
二人っきり…なんですけどね、今。
そんな無防備な顔見せて、いいんですか…?
信用してくれている、と言えば聞こえはいいけど…
たぶん男として見られてねぇんだろうな…
軽く息をつきながら、改めて目の前のAさんの寝顔を見つめる。
…睫毛、なげー…
綺麗な顔してるよな…やっぱり…。
トクン…トクン…
…と、自分の心臓の音が、耳の中で聞こえる___
「…っ!?」
ガバッ、と、俺はいつの間にかAさんに顔を近付けていた自分に気付いて、慌てて体を引き離した。
…ちょ…ちょっと待て…
今…完全に無意識だった…
片手で口元を押さえながら、顔に熱が集まってくるのを感じる…。
「…ヤベ…」
何やってんだ、俺…。
…いや、つまり『これ』が、今の俺の状態ってことか…。
無意識に、キスしようとしてしまうほど…俺は…
こりゃ自分で思ってた以上に重症だな。
…それなのに…俺って奴は…
Aさんとの今の関係を壊したくなくて…
遠いような近いような、この距離感が心地良くて…
いつまで経っても、現状維持のまま…。
「…どーするかな…」
綺麗な寝顔を見つめながら、ボソッと呟く。
…俺がこんなこと考えてるなんて、全っ然思ってねぇんだろうな…この眠り姫は。
「…眠り姫…か。」
…そーいや…眠り姫って、王子様のキスで目覚めるんだっけ…?
「…キスしたら…起きてくれるんですかね…?」
Aさんにとって、俺がそういう存在であるなら…。
…なんてな。
口に出せない想いを抱えたまま、俺はAさんの寝顔を見つめ続けていた…。
(いたりあんぷりん様リク)
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雪星(プロフ) - さーたんさん» 楽しんでもらえたようで良かったです!とりあえず、照れはするだろうな、と。それからの反応はそれぞれ違うだろうな、と思いながら書きました(>_<)ゾノはこのシリーズのオチ担当です(笑) (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - のりさん» ゾノは、あの歌を歌ってる場面がポンッと降ってきまして(笑)御幸の回なのになんだかゾノがメインになってしまったような…(^^;まぁ面白くなったからいいかな、と(^^; (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 桜さん» いえいえ、こちらこそせっかくリクしていただいたのに、お応えできなくて申し訳ありません(T_T)再開したら、またヨロシクお願いします! (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
さーたん - やばいですね!!!事故チューどれも最高でしたッ!金丸はかわいいし亮さんはかっこいい!!そしてゾノの登場にはわらいました笑 みんなが照れててテンション上がりました笑 ありがとうございます!!笑 (2017年2月19日 0時) (レス) id: a56f300cf9 (このIDを非表示/違反報告)
のり - 雪星さん» ども、おひさです。…とりあえず、ゾノwお主は我をわらかしてくるのぅw御幸の話を読むとデリカシークラッシャー御幸を思い出してただでさえ吹いちゃうのにw (2017年2月16日 23時) (レス) id: 7a0132dcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月29日 18時