【松原&梅宮とグラウンド(1)】★ ページ22
「…ここにもいない、か…」
煌々と明かりのついている室内練習場にやってきた私と松原君だけど、はぐれたという松原君の『連れ』の姿はなく、その松原君は小さく息を吐きながら呟いた。
マネージャー室を出てから、ブルペンや寮の周辺を回ってみたものの誰の姿もなく、もしかしてまだ部員が練習してるところ見てるのかも、ってことで室内練習場に来たんだけど…。
いないなぁ…どこいっちゃったんだろ…。
「すみません、月原さん…帰りが遅くなってしまいますよね…」
「あぁ、私のことは気にしないでいいよ。それより、どこか行きそうなところに心当たりない?」
ひょい、と松原君の顔を覗き込みながら言うと、松原君は顎に手を当てて暫く考えたあと、「もしかしたら…」と、ある場所の名前を告げた。
* * *
明かりの落とされた、薄暗いグラウンド。
そのマウンドに、彼は立っていた。
学ランの第二ボタンまでを外し、ザッと振りかぶって投球モーションに入る。
そのまま左足を踏み出して、ブンッ…と音がしそうなほどの勢いで腕を振り抜いた。
…松原君の連れって…ピッチャーだったんだ…。
「…やっぱりここか…」
ふぅ…とため息をつきながらそう呟くと、松原君は『彼』に向かって声を張り上げた。
「梅宮!」
マウンド上の『彼』はその声で松原君に気付き、ズカズカとこっちへ近付いてくる。
松原君曰く、『強面でガラの悪いリーゼント野郎(でも実は可愛いところ有り)』ってことらしいけど…。
「南朋!見たか?今の!ここで投げると気合い入っていい球投げられそうな気がするぜ!」
「どこのマウンドでも気合い入れていい球投げてもらわないと困るけどね。…ったく、どこに行ったのかと思えば、勝手にグラウンド入って…」
「いや〜なんつーか血が騒いで……って……」
…と、すぐ近くまで来たところで、松原君に梅宮と呼ばれた『彼』はようやく私の存在に気付いたらしい。
あんぐりと口を開けて私を凝視したまま、その場で固まってしまった。
「…梅宮。」
「………………。」
「梅宮。」
「………………。」
「梅宮!」
「…はっ!」
松原君に何度か呼び掛けられて、彼…梅宮君はようやく我に返る。
「…見過ぎ。失礼だろ。」
「いや、ちょっと待て南朋…!お前、いつの間にこんな美人な彼女…!」
「違うよ。この人は青道のマネージャーの月原さん。梅宮を探すのを手伝ってもらったんだ。」
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雪星(プロフ) - さーたんさん» 楽しんでもらえたようで良かったです!とりあえず、照れはするだろうな、と。それからの反応はそれぞれ違うだろうな、と思いながら書きました(>_<)ゾノはこのシリーズのオチ担当です(笑) (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - のりさん» ゾノは、あの歌を歌ってる場面がポンッと降ってきまして(笑)御幸の回なのになんだかゾノがメインになってしまったような…(^^;まぁ面白くなったからいいかな、と(^^; (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 桜さん» いえいえ、こちらこそせっかくリクしていただいたのに、お応えできなくて申し訳ありません(T_T)再開したら、またヨロシクお願いします! (2017年3月2日 20時) (レス) id: 51d66f5e63 (このIDを非表示/違反報告)
さーたん - やばいですね!!!事故チューどれも最高でしたッ!金丸はかわいいし亮さんはかっこいい!!そしてゾノの登場にはわらいました笑 みんなが照れててテンション上がりました笑 ありがとうございます!!笑 (2017年2月19日 0時) (レス) id: a56f300cf9 (このIDを非表示/違反報告)
のり - 雪星さん» ども、おひさです。…とりあえず、ゾノwお主は我をわらかしてくるのぅw御幸の話を読むとデリカシークラッシャー御幸を思い出してただでさえ吹いちゃうのにw (2017年2月16日 23時) (レス) id: 7a0132dcf2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月29日 18時