29 ページ31
『…はぁ…！……はっ……はぁ…！』
私達は走っていた
両手に持っていた鈴が突如消えるなんて心霊的ななにかの力が働いてるとしか考えられない
向かう先は言わずもがな、図書室だ
1階に下りかけていた階段を全員で駆け上って2階にある図書室を目指す
委員長と冷が出会った、あの場所に
すぐ隣を走る委員長の横顔にはなんとも言えない感情が浮かんでいた
【委員長side】
自然と図書室までの道のりに距離があるように感じた
彼がやったことであってほしい、彼とまた会いたい
でも彼がもし悪霊と化していたら？
消えた生徒達はもしかしたら彼の手によって……
色んな可能性が頭の中をぐるぐると巡る
怖い、と思った
必死にその場所を目指し走りながら、
こんなにも彼と再会を果たすことを望んでいるのに
怖いと思ってしまった
思えば私はずっと怯えていたんだと思う
肝試しを企画したときも
生徒が戻ってこなくなったときも
屋上の扉を開けるときも
今だって
彼の事を否定してしまうんじゃないかと自分自身に怯えている
彼とはじめて会ったときから今までずっと会いたかったのに
いざ会えるかもしれないとなると
現在の彼が何者なのか分からず、
彼の事を受け入れられないかもしれない自分が怖い
今日ここに来るまでは、
そもそも彼は私のことなんて覚えていないのかもしれない
確かに旧校舎の夜という印象的な初対面を果たしたが
それは彼が旧校舎で過ごしていたうちのほんの一瞬でしかなくて
何十年とこの校舎を彷徨っているであろう彼は私の顔すら覚えていないんじゃないかと
すごく不安に感じていたのを思い出した
鈴が無くなり図書室へ、既読感のあるこの一連の動きが
どうか偶然ではないようにと願いながら走る
会いたいけど会いたくない
矛盾していると言われればそれまでだろう
もうこんな葛藤は今日で終わりにしよう
彼が私のことを覚えていないならもうそれでいい
鈴が無くなったのも単なる偶然ならそれはそれでいい
少しだけ開いていた図書室の扉を開ける
そのとき
私達の身体を白いモヤのようなものが包みこみ、
私の意識はそこで途切れた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マニ。(プロフ) - 夏目さん» ✉️。こっちもとても面白いです！何回も返事送って申し訳ないですがこれからもファンとして応援してます、ボードの返事もお待ちしています。夏目さん。😊 (11月25日 10時) (
レス) id: b32654e3a5 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - きくさぶなそれさん» キャラ達の掛け合いとかスピード感とか結構意識してるのでそう言って貰えてマジ嬉しいです‼‼‼ファンだなんて恐れ多い、！！！ありがとうございます！！！！ (7月19日 16時) (レス) id: 72b96c777b (このIDを非表示/違反報告)
きくさぶなそれ(プロフ) - リズミカルでスピーディーな話の進み方がなんだか面白くて気付いたらこの作品のファンになってました！とてま面白いです！マダラさんと夢主ちゃんの掛け合いも漫才みたいで楽しいです！なによりツッコミの才能ピカイチの夢主ちゃんがおもしろ可愛いです！応援してます！ (7月19日 15時) (レス) @page17 id: 0cccc81a8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
