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「でも結果として君を傷付けることになってしまった。ともすればトラウマを植え付けてしまったとさえ思ったよ。でも僕はどこまでも悪い大人だから、君が忘れないでいてくれたら良いと心のどこかで思っていた」
「忘れられるわけがねーよ」
「ごめんね。結局逃がしてあげられなかった」
なんだか不穏なフレーズに心がざわざわしてしまう。俺が先生をすきになるように仕向けたなんて言ってたから、何か他にも刷り込みめいた事をしていたのだろうかなんて考えてしまったり。そうだとしても、出来レースだったんだとしても。俺が先生に恋をしたのは曲がりようのない事実だけれど。
「逃がすって、なに」
「外の世界を知って、普通の恋愛をしていつか結婚して子供を授かって。そんなありふれた幸せを手にすることが出来るように、それが叶えられない僕という檻から逃がしたつもりでいたんだよ」
檻。俺は先生じゃないから、そこにある真意が掴めないけど。卒業式の時に言っていた“外の世界”は、もしかしたら校舎の外ということではなくて。既に俺の中の大半を占めていた先生の、いない世界のことだったのかもしれない。
懸念したような不穏な事ではなかったことに安心した途端に、飲み干したアルコールが回る頭に先生は語りかける。
「それでもずっと待ってしまった。根拠もなくいつか、どこかでまた会える気がしてた。どうしてあの雨の日、バス停で会えたんだろうね」
俺の空いたグラスに注いだ深い赤色を見つめる目が綺麗だった。長い睫毛も、形の良い鼻も、時折寂しそうにする唇も。先生は綺麗だ。
どうしてまた会えたのかなんて、そんなの決まってんじゃん。
「運命、てやつだと思う」
「君の言葉はどんな作家の言葉より痺れるよ」
視線がこっちに飛んできて、酔いから少し赤らんだ目元が緩む。ねえ、もう我慢しなくて良いよね。そのやわらかな笑みを以て俺は確信を得ても良いよね？
「それはさぁ、すきなひとの言葉だからなんじゃない？」
「本当に口が達者になったなぁ」
そうだね、て肯定が欲しかったのに俺を拗ねさせようとしてはぐらかす。知ってんだよ、こういう時わざと意地悪すんの。そんで俺のこと可愛いって言うんだよ、知ってんの。だから敢えて拗ねない。もう先生の策には引っ掛からない。
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7oh(プロフ) - 薫さん、おはようございます！読んでいただきありがとうございます。褒めてもらえてうれしいです！ありがたきハピネスです！！葉山先生より少し色がある、っていうのグッときました。先生側の話もお楽しみに！ (2019年7月1日 8時) (
レス) id: c7b4c0e1dc (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 7ohさんこんばんは！いっきに読んでしまいました。翔くんの歳下なのに潤の扱い方とかチャラい外見とか、私の好きな要素がつまっててありがとうの世界です！潤は、葉山先生より少し色がある感じ…翔く素敵です。いいです。別バージョン楽しみに待ってます (2019年7月1日 2時) (レス) id: 93fa30b886 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年6月30日 21時
