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ごくりとワインを飲み干した先生は、ボトルを手にして空になったグラスの八分目くらいまで注いだ。
「恋をしてしまったと気付いた時、自分にがっかりしたよ」
語尾が殆ど消え入るようなセンテンスだった。けれど俺が口を挟む前に、囁きに近い声は続いた。
「叶わない恋をするほど僕は馬鹿だったのか、ってね」
「でもしっかりキスしたじゃん」
「あれは君が悪いよ。わかっていたくせに大人をからかったりするから。まぁ、だからといって易々とそれに乗ったのは大人気なかったと思ってる」
「正直あの時、キスされた時、“生徒から個人になる”みたいな事の意味を確信したんだけど、」
そこまで言って上手く言葉が出てこなくなる。けど、何だろう。嫌じゃなかった？気持ち悪いとかは思わなかった？
言葉を探して黙る俺の隣で、先生は静かに続きを待っていた。秒針が一周、二周してしまって的確な言葉が出ないままに口を開く。
「わかんないけど、俺もせんせーのことがすきだったんだと思う。そのとき既に。」
多分。だから嫌悪感もなく、同性なのにとか拒絶することもなかったんだと思う。自分でもよくわかんないんだけど。いまでも少し不思議なんだけど。とか思ってたら先生が口を開いた。
「今だから言うけどね」
横顔を窺うと、その目は当時を見ているかのように遠くを眺めていた。
「そうなるように、仕向けたところはあるよ」
「え？」
「二人きりの時に名前を呼ばなかったのはわざとだし」
「え、そうなの？」
「それに関しては、どうしてだろうと思ってくれたら割とこっちのものだと思ってた」
だから、だからあの時の答えが“なんとなく”ではなかったんだ。先生自身もわからないのか、ふーん、とか思ってる時このひとはシメシメと思ってたってことか。まじか、て黙っていると静かな声がさらに弱々しく響く。
「嫌いになった？」
顔は前を向けたまま、ちらりと目だけで俺を見る。ずるい。
「なんない」
悪態の一つも吐ければ良いのに丁度良い言葉が見付からない。ずるい、とそのまま言ってしまうことも出来るけど、このひとはそれをわかっててやってるんだろうから。ズバッと言ったところで、また困ったように笑うだけだ。
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7oh(プロフ) - 薫さん、おはようございます！読んでいただきありがとうございます。褒めてもらえてうれしいです！ありがたきハピネスです！！葉山先生より少し色がある、っていうのグッときました。先生側の話もお楽しみに！ (2019年7月1日 8時) (
レス) id: c7b4c0e1dc (このIDを非表示/違反報告)
薫(プロフ) - 7ohさんこんばんは！いっきに読んでしまいました。翔くんの歳下なのに潤の扱い方とかチャラい外見とか、私の好きな要素がつまっててありがとうの世界です！潤は、葉山先生より少し色がある感じ…翔く素敵です。いいです。別バージョン楽しみに待ってます (2019年7月1日 2時) (レス) id: 93fa30b886 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：7oh
| 作成日時：2019年6月30日 21時
