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54_ビッチ ページ7

10分程歩いて、人気の少ない路地に出た。




「夏目食堂?」

「雪のお母さんが経営してる店。」

「へえ!」




ガラガラッと、引き戸式のドアを開ければ

中から美味しそうな香りが漂ってくる。





「あら、俊君!」

「こんにちは。雪は…」

「雪ならあっちにいるわよ」




店主のような人(つまり雪ちゃんのお母さん?)と、俊が会話している。


よく来るんだなー、とか思ったり。






「雪、宮地さんも、お待たせしました。」





淡々と足を進めていく俊について行けば、

珍しい組み合わせの2人とご対面。





「おー、待ちくたびれたぞ本当に。」

「宮地さん・・」





口調とは裏腹に、冗談めかしく笑う彼を見て、一気に罪悪感というものが込み上げた。



だって私は、あの時シュウを追って……





「ごめんなさい。」





謝らなきゃ。



宮地さんに、それから

関係無いのにデートの邪魔をしてしまった

雪ちゃんにも。





「転んだだけだろ?仕方ねーじゃん」

「え・・」





俊、嘘を言ったんだ。


私と宮地さんが上手くいくために?


…本当に、なんでそこまでしてくれるの?







「………ねぇ、」





少し沈んだ空気の中、
口を開いたのは黒髪ショートの美少女で





「騙されるとでも思った?」


「…!」





その大きな瞳が、私を冷たく見据えていた。






「いつまでも騙し続けてるんだね。」






"いつまでも"…?



その意味がわからなくても、

今日の事が雪ちゃんに怪しまれたのは間違い無いようだった。


なんせ、俊とホテルに入ったんだから。


種を撒いたのは全部私。


人聞きの悪い事を言われて当然だ。






「……ビッチ」


「ッ・・」






熱い何かが込み上げてきても、何も言い返す権利がない。



あからさまに嫌われているのは知ってたけど


「ビッチ」なんて・・


こんなはっきりと言われたのは初めてだ。






「おい!」

「雪、」





宮地さんが音をたてて立ち上がったのと、


俊が雪ちゃんの右腕を掴んだのは同時だった。






「……痛い。」

「言いすぎだよ。」






端から見れば、この光景はただの修羅場。


周りの視線が痛い程刺さる。






「離して。」

「・・・」






俊と雪ちゃんが、こんな風に険悪(?)なムードになっているのは、初めて見る。






「俊、腕を・・」






何より、私は普段から冷静で穏やかな幼なじみの姿しか見てこなかったから


初めて見るその姿に驚きを覚えていた。

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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年3月10日 18時

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