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96_後ろ姿を見送って… ページ49

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それから夏休みに突入して、

ひなと会う事はなかった。



学校が再開しても、

ひなは無論、学校に来ない。





この件に関して、クラスの皆はとやかく言ってた。


だけど、3年生ということで

近づいてくる各々の受験。



いつしか皆は、自分の事に精一杯。

他人の噂話に口を挟む事はなくなった。




今度こそ本当に、噂が消滅した。








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「誠凛高校?」

「来年度からできる新設校だよ。」




俊も、皆も、志望校を決めていた。





「…頑張ってね、俊なら受かるよ。」

「ありがと。Aも、頑張って。」





私も私で、アメリカの高校へ通うための準備を進めていた。


英会話は、本場の先生と会話できるくらいには上達したし、


不安要素はどこにもない。




全てが今、順調に進んで行ってるのに

心にぽっかりと空いた穴。




何を埋めたって、

その穴は、塞がらない。







「じゃあね、また明日。」

「うん…」






俊がバスケ部を引退してからは、


ほぼ毎日、一緒に帰ってる。


友達として、雑談相手として。








「うっ・・うぅ・・」




最近私は、よく泣く。

俊や、クラスメート、お母さんの前でも泣きたくはないから


俊と別れた後

自転車を漕いでく後ろ姿を数秒見送って


交差点を曲がった所で踵を切るように泣く。


家につく頃には涙も引いて、心も少し落ち着いている。






「うぅ・・グスッ」





はぁ、辛い。

思えば辛い時は、いつも俊がそばに居てくれた







『……なんだ…泣いてるかと思った』







あの時、


俊が幼なじみって事を忘れるくらい、


ドキッとした。





背もどんどん抜かされててびっくりしたし。

ちょっと前まで同じくらいだったのに……






「大好き」とまでは行かなくとも、

ほんの少しは「好き」だったのかもしれない。








恋なんてした事ないから、よくわからないけど。



まだ、中学生なんだし。

…いやもう卒業か。






「恋、したいな…」





私が"恋"をもっと知っていれば、

ひなの気持ちをわかってあげられたかもしれない。





「ひな…」






ひな、恋ってどんな気持ちなの?

何があったら、自分が恋してるってわかるの?







「ごめんね、ひな…ッ」







それから


卒業式まで、ひなは学校に来なかった。




 ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



-To be continued-

作者より(続編できました。)→←95_自分のため(伊月side)



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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年3月10日 18時

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