91_一目惚れのクマ ページ44
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「さっきはありがとね、俊。」
タクシーに戻った後、隣に座った俊に言う。
「ああ…うん。」
「ひなも、ありがとう。」
「……」
あれ?
「……」
「……」
あれからひなは、ずっと元気がない。
さっきの男の人達、怖かったから……?
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次に到着した場所は、繁華街のような所。
班の皆は、大半のお土産をここで買うつもりでいるらしい。
「着いたよ、ひな。」
「……うん」
まだ、元気ないな…
「松尾さん大丈夫?」
「ずっと具合悪そうだったよね」
「酔った?」
そんなひなを心配してか、班の人達も声をかけている。
「……ひな、皆が来るまでここで休んでるね。」
「えっ?」
お土産、ここで買うってひなも言ってたのに…
「わかったよー」
「留守番おなしゃーす!」
「……」
ひな…
.
またまた人で溢れ変える繁華街を、班の人達についていく形で歩く。
「ひな…」
本当に、具合が悪くなったの?
お土産買いに来られないほど……?
「つまんない?」
「へ?」
気がつくと、私の隣には俊がいた。
さっきまで男子と一緒にいたのに。
「松尾がいないと、つまんないって顔してる」
「…嘘、顔に出てた?」
「あ、本当なんだ。」
「もう、俊!」
俊がよくやる手口。
カマをかける。
「あの店入ろーぜ!」
前の方で、同じ班の男子がそう叫ぶ。
遅れる形で、私と俊もその店に入った。
ひなの事、気がかりではあるけど……
ここに入った以上、お土産を選ばないと。
「………待って、何買えばいいの。」
「え?まあ無難に生八ッ橋とか…」
「は、橋…?」
「え…」
…………思った以上にお土産選びには苦戦した。
「伊月と小林も、全部買ったー?」
「「うん」」
旅行なんてずっと行ってなかったから、
何を買ったら良いのや……ら_________
「可愛い!!」
「「「「「「!?!?」」」」」」
ふと視界に入った、手作りマスコットのお店。
"一目惚れ"・・というのだろうか。
胸がざわつくこの感じ。
「小林…あれを可愛いって…」
「センスが…(笑)」
え、えぇぇ???
「じょ、冗談…」
「だよなー(笑)」
「んじゃあ、戻るか!」
サラバ、一目惚れしたクマさん達…。
.
「あの、これ1つ。」
「780円です。」
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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年3月10日 18時