87_更なる誤解 ページ40
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「ひな…!」
「……A」
私達が登校して暫く経って、ひなが登校してきた。
「今日はいつもより遅いね…」
「……うん、寝坊しちゃった。」
「……」
また「違和感」だ…
無理して作ったような笑顔……
「…どうしたの?Aからひなの所来るなんて珍しい。」
「そ、そうかな…」
「伊月君…は?」
「え?」
チラッと俊の席を見る。
俊は今、教室に居ない。
「さっき、部活の人に呼び出しされてた」
「そっか…」
「あのね、ひな。」
そこで気づいた。
ここは教室。
「…ちょっと、移動しよう。」
向かった先は体育館。
バスケ部の朝練がない事を知った上でここに来た。
「ひな、ごめん!」
「え…」
「私と俊が付き合ってるって噂、私がちゃんと否定しなかったからずっと広まったままだった。」
「……」
「ひなに悪いと思って、噂の事、ひなには黙ってた。それなのに…それなのに、知らない所で逆にひなを傷つけた。」
「A…」
「私のせいで皆にひなを誤解させてごめんね。その事を今まで気がつけなくて、本当にごめん!」
「……」
ここまで誠心誠意を込めて、
誰かに「ごめん」と謝ったのは初めてだった。
「Aが謝ることないよ。ほら、顔上げて」
「え…?」
少しぐらい、私に怒ってるのかと思った。
だけどひなは、これっぽっちも怒っていなくて
「ひなも、周りに言われる程伊月君にアプローチし過ぎたかなって、反省してるし(笑)」
「ひなは悪くないよ!」
「Aがそう言ってくれて良かった。」
「私も良かった…」
本当に良かった。
「これからは、辛い事あったら何でも吐き出そう。それが"親友"なんだし。」
「うん…。」
何でも吐き出す。
「…私、中学卒業したらアメリカに行くんだ。」
「え!?」
「昨日決まって…」
「何その急展開…」
頭が追い付かないとばかりに、困惑した顔を見せるひな。
すると、
「それ、伊月君にも話したの?」
「あ、うん。今朝会ったから。」
ここで俊の名前が出るとは思わなかった。
「そっか、だから…」
「?」
「……ううん、何でも!」
……あれ?
.
「誤解」は、更なる「誤解」を招く。
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「ねえ、聞いた?」
「何がー?」
「見たんだって、男子が。」
「小林さんと伊月君、
今朝、キスしてたんだって!」
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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年3月10日 18時