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85_重なる影 ページ38

〜〜〜



大切な親友と、

派手じゃなくとも楽しい学校生活が

これからも当たり前のように続くんだって、

信じて疑わなかった。




私はただ、

友達と一緒にいたかっただけなのに。





歯車は、きっとこの頃から狂い始めていた。



〜〜〜






「俊…私ね、アメリカの高校に行くんだって」

「え、どうして急に」





登校途中に自転車を漕いでいた俊とばったり会って、そのまま一緒に学校まで向かう。





「昨日、お父さんに言われた。お母さんもお兄ちゃんも乗り気みたいで…」

「そっか…」

「卒業式まではお母さんと一緒に日本にいるよ。それからすぐ向こう行くんだって。」





正直、家族に対して一言も反論出来なかった事が悔しかった。






「アメリカって遠いよね…」

「そりゃあねー…」





遠いんだ…





「行きたくない。ひなと、俊と、同じ高校通いたい…のに」

「A…」





次第と歩く速度が落ち、その場に立ち止まる。

下を向けば、斜めに伸びた自分の影。





「学校、行かないの?」

「行く…けど」





すると、


隣にあったもう1つの影が、私のと重なった。





「え…?」

「……なんだ…泣いてるかと思った」





結構な間近で俊と対面する。

かなり、びっくりしたけど……

泣いてるか心配で顔を伺っただけ?





「な、泣かないよ」

「メンタル強いからね、A」

「もう、うっさい!」

「いてっ」




さっきの沈んだ空気は何処へやら。

気づけばいつもの日常のやりとり。




「まだ2年なんだし、思い詰めない方が気楽で良いと思うけど?」

「そうだけど…」

「それにアメリカなんて、海渡ってすぐじゃん?」

「……は、何言ってんの」





すぐな訳ないじゃん、って思ったけど

俊は俊なりに、今私を励ましてくれてるんだ。



成る程ね…

俊がモテる理由が少しわかった気がする。







「ありが…「「キャハハハッ」」





俊にお礼を言おうとした所、前方を歩いていた2人組の笑い声に遮られた。






「本格的にヤバいねー、"松尾ひなの"。」






・・・ん?






「いくら可愛いからって、彼女持ちの男に手出すなんてね〜」






・・ひな?






「"顔だけ女"って言われてるだけあるわ(笑)」







・・・!








「その話誰が言ってたの!?」


「「は…?」」


「……A?」








俊も、前を歩いてた2人も驚いていた。







だけど、





勿論、







私が1番驚いていますとも・・

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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年3月10日 18時

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