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81_デリカシー(伊月side) ページ34

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「伊月、小林と付き合ってんだって?」




部活に行く途中、
一緒に歩いてたバスケ部の仲間から問われたのが、最初。

2年生になってちょっとした頃だった。





「……は?」




他人より冷静ではいるはずの俺だけど、

流石に動揺した。





「もうキスとかしちゃってんの?笑」

「……してない。てか、付き合ってない。」





どいつもコイツも、中学2年の男子だ。

所謂、そういうお年頃。(勿論俺も例外ではない)




「バレンタイン貰ってたって」

「あれはAからじゃない、別の人から」

「時々一緒帰ってるって」

「家が近所なだけ」

「名前で呼び合ってんじゃん!」

「幼なじみだから…」





……何だこのやりとり。





「なぁ〜んだ、つまんね〜の」




噂話って、瞬く間に広まっていくから怖い。









「あ、練習着教室に忘れた」

「俺先行ってっからな!」








.










「フゥ…」




2年生の棟は、体育館と離れている。

階数もあるため、ダッシュするとそれなりに息切れする。





ガラッ




「「あっ」」




教室には誰もいないと思ってた。

きっと相手も、誰も入って来ないだろうと考えていたんだろう。





「夏目さん、来てたんだ。」

「……うん…ずっと保健室いた」




1年、2年と同じクラスになった夏目さん。

1年の後半から体調を崩しがちになったらしく

学校にはあまり来なくなった。




「これから帰るんだ?」

「うん…」




クラスの奴らは、不登校気味の彼女をとやかく言うけど、俺は至って気にしない。





「伊月…何しに来たの?」

「俺?練習着取りに来ただけだよ。」





そう言って、自分の机の横にかけられたままである手提げを取る。


視界に入ったAの席を見ると、机の端に変な落書きが。


きっと松尾が描いたんだろうな。


上手いとも言えないシュールなキャラクターに目が行き、思わず笑みを溢す。







「小林A…」

「え?」






今の、夏目さん?







「好きなの…?」






最初は意味がわからなかったけど

聞かんとする事は解った。






「……」

「……」




「夏目さん、少し痩せた?」

「は!?」





そう言うと、怒った顔で此方を見る。





「痩せようとしてる…から…」

「へぇ、なんで?」





思ったまでを素直に言葉にしただけだった。


なのに、






「伊月、デリカシー無さすぎ」






俺にそう突きつけて、

夏目さんは教室から出て行った。

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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年3月10日 18時

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