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77_バレンタイン ページ30

2月14日。




「ねぇ〜A〜」

「えぇー・・」




バレンタインデー。

世の女子達が、男の子にチョコを渡す日。



クラスの皆もいつもより浮き足立っていて

勿論この子も例外ではない。





「何度もシミュレーションしたけど無理!緊張で渡せないよ〜」

「だからって…」




そう、


ひなが俊に宛てたチョコを渡すと言うのだ。

しかも手作りの、かなり女子力高めなやつ。



そしてそれを自分から渡す勇気が無く、

私に代行してほしいと言ったのが、今。





「普段は積極的に話しかけてるじゃん」

「普段は普段!でも今日は違うよ!」




そうなのかな…




「Aなら幼なじみだから自然に渡せるでしょ?お願い!」

「〜〜……はぁ、わかったよ」

「本当に!?」




私じゃなくて、ひな本人から直接渡された方が

俊だって喜ぶと思うんだけどな・・・









「小林、誰かにチョコ渡すらしいぞ」

「嘘!?誰だよ!!」







〜〜〜








「俊いた!」

「…何?」





放課後、予想通り俊は駐輪場にいた。





「あ、あのさ…」




代行するだけなのに、何故か気まずい。

ひなの気持ちも代わりに背負っているみたいな…





……って、




「チョコすごいね!」

「え?」




本人は隠しているつもりだろうけど、

俊の鞄からはみ出て見える、どう見ても趣味が女の子寄りの紙袋たち。



案外モテてるんだ…





「………A要る?」

「へ?」

「貰うなら市販のコーヒーゼリーとかで良いし……チョコはあんまり…」





照れ隠し…?と思ったけど、

その顔は確かに複雑そうだった。





「そんなの貰えないよ。みんな俊のために作ったり買ったりしてるんだから。」


「…はいはい(笑)」





俊は妙に女心が解ってるって、

ひなが以前言ってたけど、それもどうかな……



まず、女の子にあまり興味無さそう。






「じゃあ…「あ、ちょっと待ってよ!」




何のために私が此所に来たんだか





「はいこれ。」

「……え、」

「私からじゃないよ?ひなが、俊にって。」





紙袋を見せた時、俊の顔が強張った。


私が壊滅的に料理下手だという事を知ってるからね……





「……なんだ、びっくりした。」





ほら…(笑)







「じゃあ私、教室戻るね。」

「……A」









「………やっぱいい」

「え、何?(笑)」








この、何気ない放課後のやりとりが


後の問題の火種となるとはつゆ知らず。

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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年3月10日 18時

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