11_ペットショップの小型犬 ページ12
あの合コンから1週間が経った。
「「「あっはっはっはっ」」」
大学の食堂で、女子3人の笑い声が響く。
「つまり、ベロンベロンに酔った挙げ句、吐き気を催して彼の自宅に超特急、出す物出した後は彼に介抱されながらベッドで熟睡・・」
「一晩を共に過ごしたにも関わらず、何もナシって・・」
「男側の立場に立つと辛いものがあるよね」
笑いながら、うんうんと頷き合う3人。
「しかもその彼、長身の童顔イケメン!おまけにS大と来れば、将来が有望すぎるわよ!」
「「ウッソ〜!」」
「姫はね、勿体無い事したよ本当に。」
「エリちゃん・・」
あの合コンの日の出来事は、今や私にとって1つの武勇伝。
「でもそんな姿見せちゃったなら、お姫様の面目丸潰れだねぇ」
「姫じゃない!」
私が反論すれば、またも笑いが起こる。
「そろそろウチら行くわ。午後の授業あるし」
「じゃーね、絵理花、姫♪」
また"姫"って・・
「もう、エリちゃん〜」
「ごめんって(笑)」
誰とでもすぐ打ち解けられるくらいお喋りさんなエリちゃんは、
私が部内で『姫』と呼ばれていることや、
先程のような恥ずかしい武勇伝を周りに広めた、ある意味での元凶だったり。
・・いや、元凶といえば寛二君なんだけどね
「最近みんなから"姫"って呼ばれる」
「愛されてる証拠じゃん?」
「でも・・」
"姫" なんて呼ばれるのは、
それこそエリちゃんみたいな美人の方が納得できるのに。
「こないだ伊月が、『Aはペットショップによくいる小型犬に似てるよな』って言ってた」
「え?俊が?」
着眼点が独特すぎて何とも言えない
「伊月曰く、」
『ペットショップの小型犬は、外からも見える透明な部屋に入れられて、何も可愛い子ぶる事なく普通に遊んだり水を飲んだりしてるだろ?そんな、日常のごく一部に過ぎない姿を見た客は、口を揃えて"可愛い可愛い"って言う。
それって、その犬を見たから"可愛い"って思ったんじゃなくて、"犬だから可愛い"って、自分の中で決められたルールがあるからなんだよ。
顔さえ認識されていないにも関わらず、"姫"だの"可愛い"だの噂されてるAは、ペットショップの犬と全く同じだよね』
「_____って」
俊が、そんな事を・・
「……遠回しに"可愛くない"って言ってるよね」
「それ私も思った(笑)」
後でみっちり問い詰めないと・・!
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作者名:ぴこ | 作成日時:2018年1月17日 3時