【黒バス】(貴「赤司や赤司や赤司くん。」(赤「何ですか？」(貴「君はなんでホイホイなんだい？」(赤「知りません。」part3

赤司がホイホイだった話90 ページ10

赤司side


目を開けると、俺はまた、あの体育館にいた。


先程まで青峰と会話していたはずなのだが、確か轢き逃げ事件の話をしていたのだったか。


思い出そうとしたら、頭が割れそうなほどに痛んだから、少し休もうと思って。


ああそうか、これはあの夢の続きなのか。


ようやく状況を理解した所で、待ってましたとばかりに青峰の悲鳴が聞こえてくる。


見てみれば彼も黒子や緑間と同じように、顔を鋸で抉られている。


***さんに、抉られている。


やがて止む悲鳴、そして***さんは次に紫原の所へと移動する。


俺はなんだかそれに反応するのが過剰なような気がして、壇上へと視線を移動させる。


相も変わらず、いつもよりも低い声でボソボソと、ノイズ混じりの言葉を発する校長。


そう、集会用の体育館に壇上に上がる校長。そしてざわつく生徒たち。


もしかしたらこれは俺がなくした記憶、帝光中轢き逃げ事件の記憶なのかもしれない。


だから校長の話が聞こえない、***さんが誰なのか分からない、視界がぼやけてはっきりとしない。


俺は何かを思い出そうとしているんだろうけど、心の奥底でそれはいけないと警鐘が鳴り響いている。


だってそのことを思い出してしまったら、***さんはーーーなる。


俺だってきっと、平静でなんかいられないだろう。


ゆっくりと、紫原に視線を戻す。


***さんが持っている鋸が、あと少しで紫原の皮膚に喰いつくところだった。


ここで俺の意識は浮上する。


次にこの夢を見るときには、きっと紫原の顔もないんだろう。


でもそれが***さんの望むことなら、俺は何度でも何度だって見ないふりをする。


それが俺にとっても***さんにとっても、最善の選択なんだろうから。

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