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赤司がホイホイだった話86 ページ4

青峰side


猿が壁にぶつかる音や叫び声の中に、唐突にそれとは違う音がまじった。


それは、赤司が隠れている戸棚の中から聞こえてきたものだった。


初めは気のせい、それか猿の奇妙な行動の内の一つだと思っていたのだが、もう一度それはしっかりと俺たちの耳へと届いた。


ゴン、ゴンと何か重量のあるものがぶつかるような音は、確かに戸棚の中から定期的に聞こえてくる。


(青「あ、赤司…?何してんだ、お前、なぁ…?」


返事の代わりに返ってきたのはやはり、ゴンという音だけ。


とたんに俺は今まで以上の恐怖に身体を震わせた。


あの戸棚の中にいるのは本当に赤司なのだろうか、もしかするとあの猿なのではないか?


確かめなければ、だって猿は今も鳴き続けている、出してほしいのかもしれない。


どこから?戸棚から?


訳もわからないまま、足が勝手に進んでいく。


真っ直ぐ戸棚に向かっていく、音もゆっくり近づいてくる。


違う、俺は確かめるんだ、ここにいるのが赤司なのか…そうじゃないのか。


それだけだ、たったそれだけ…招いてるんじゃない。


震える手で戸棚を開けようとすると、やんわりと制止された。


白くて、冷たい、雪みたいな綺麗な手だった。


(青「先輩…」


先輩はそのまま俺の手を掴むと、弱々しく握ってきた。


でも俺を見つめているその目は力強くて、そのちぐはぐさに、訳のわからない安心感を覚えた。


現在進行形であの重たい音も、猿の叫びも聞こえてくるのに、恐怖はだんだんと薄らいでいっている。


不思議な人だ。


(貴「大丈夫だよ、大丈夫ってしか言えないけど、信じて」


暗闇に凛と響く声は、静かにざわついた俺の心を撫でていく。


落ち着きが少しずつ戻ってきて、震えていた手は先輩の小さな手を握り返している。


本来であれば触れることの出来ないその小さな手。


その手に今触れている事実に、ちくりと胸が痛んだ。


時刻は3時58分。


タイムリミットまで、残り2分。

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海月 - コドモアソビでしたっけ?あれはつくった曲ですよね!? (2018年3月31日 13時) (レス) id: 534fdfd1d0 (このIDを非表示/違反報告)
- メッチャ面白いです!ギャグも入ってるしホラーはちゃんと怖いw続き楽しみにしてます! (2015年10月26日 18時) (レス) id: 1fa7448f4f (このIDを非表示/違反報告)
涼ースズー - 私もゾンビ狩りしたいです!!! (2015年9月30日 22時) (レス) id: b08690dd4e (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - どうでもいいコメントしていいですか?← 幼児ココアよりアンパンマンカレーのほうが美味しいですよ← (2015年9月24日 22時) (レス) id: 923a1e5d93 (このIDを非表示/違反報告)
novel - 初めまして!すごく面白いです!早く続きが見たいです!更新、頑張って下さい!応援してます! (2015年9月9日 23時) (レス) id: 5956e8d0c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:腹黒さん★ | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2015年8月29日 1時

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