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中 島 敦 * ページ6










「敦さん?どうされました?」

「え、否何でもないです……!」

「…肩の力位抜いたらどうです?」

「か、肩……こうですか?」

「それは……脱臼したみたいな感じ……」




頬少し紅くしながら苦笑いする彼女は愛らしかった。
まるで、夢のようだった。
………まぶしかった。


こんな情けない自分が
こんな弱々しい自分が
こんな汚れた自分が、


彼女の笑顔を見ていいのだろうか。




「あつ……さん…」




「敦さん!!!」

「っ…!!?」




触れた手は冷たかった。
揺らめいた目は動揺する自分。
彼女に一瞬見とれた。





「もうっ、主役が鬱になってどうするんですか!!」

「…しゅ、…主役?」



「ま、…まさか、今日はなんの日思っていらっしゃるの!?」


「子供の……」
「ッ違うわ!!!?」





幾ら考えても思い付かなかった。何かあったっけ……?という雰囲気を出していると彼女は目を見開いてから溜め息を長く溢す。

彼女は何処から取り出したのか白い便箋を僕の手に置いた。便箋には綺麗な筆記体でこう書かれていた。









«Happy birthday to you,Atushi.»






はっ、とした。
顔をあげれば目の前には彼女は居なかった。回りを見渡せば、彼女の乗った高級車が走り出していた。








「I really really like you!!!





___お誕生日おめでとう、敦さん」









«敦さんへ


お誕生日おめでとう敦さん。
ちょっと人生の先輩から助言をひとつ。


貴方は生まれを呪っているかもしれない、
自分が汚いとか汚れてるとか思ってるかもしれない。

けれど貴方の院長先生___お父様は本当に貴方が生まれてきてくれて嬉しかったと思うわ。

貴方は強いもの、


それがお父様の励みになったと思うの。


生きて
恨まないで、愛してあげて。
そしたら沢山の愛で返ってくるの。
でも、見返りなんて求めないで頂戴ね。
見返りなんて求めたら誰も本当の愛だとは思わない。

そして、



自分の事も愛してあげて。


貴方に会えて本当に良かった。
皆幸せに思ってるわ。だから、代表で言わせて。























_____敦、貴方が大好きよ。»









「っ、あぁっ……うっッ」






涙が溢れた。
読んだ後も止まらなかった。
胸が苦しくて、その悼みが愛しくて。








愛しさが……止まらなかった。

太 宰 治【終】→← 中 原 中 也 *



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拗らせた - 病んでるちゅうやさん滅茶苦茶好き……個人的にいい具合に狂ってて最高です。 (2022年1月10日 3時) (レス) @page12 id: 14fc8cff86 (このIDを非表示/違反報告)
凛花(プロフ) - 中也さんカッコイイ(o´艸`) (2017年7月2日 22時) (レス) id: ca83106bac (このIDを非表示/違反報告)
*めろん*(プロフ) - とても素敵な作品ですね…!!これからも更新頑張って下さいヽ(*´∀`)ノ (2017年4月30日 10時) (レス) id: d1fab937f2 (このIDを非表示/違反報告)
るーみっくわーるど大好きアニオタ(プロフ) - リクエスト良いですか?。中也さんで・・・カゲロウデイズを!。お願いします! (2017年4月23日 12時) (レス) id: d405c935fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:林檎雨 | 作成日時:2017年4月7日 21時

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