ヒーロー然と ページ39
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それにしても、せっかくラッキーカラーの黄色持って行ったのになぁ。
「思わぬ再会があるでしょう…かぁ…」
「なにそれ」
「あ、聞こえてました？今朝のテレビでやってた占いです。私の星座最下位で、そう出てました」
「当たってんな」
「ですよね」
黄色っぽいだけでクリーム色の折り畳み傘だったのがまずかったのかな。
それともラッキーカラーのラッキーは二宮さんが見つけてくれたところに使われたんだろうか。
よかったような悪かったような。
……あれ？
「そういえば二宮さん、どうして私の居場所分かったんですか？」
あまりにもヒーロー然として現れたからすっかり忘れてたけど。
私の当然の疑問に見上げた茶色い目はきょろきょろと左右に動く。
二宮さんがこんな顔するなんて珍しくて、じっと見つめると視線が私からそれた。
「あー……あれだ、うん。念のためスマホにGPSアプリ入れといてよかったよな」
「GPS！？何それ聞いてない！」
「そりゃ言ってねぇから」
悪びれもせず開き直ったみたいにけろりと言う二宮さんはさらに言い募ろうとした私を黙らせるみたいに手荒く髪を撫でまわす。
「わっ……」
「いーから、おまえは黙って俺に守られとけばいいんだよ」
小さな声だったから、キチンと聞き取れなくて。
聞き返そうと思って息を吸い込んだらガチャリとお店の扉が開いて相葉さんが顔を出した。
「タクシー、十分くらいで来るってさ」
「ありがと相葉さん」
「え、ニノちゃんがお礼言ってる」
「安心しろもう二度と言わねぇよ」
「えー、録音しとけばよかった！」
「ふざけんな」
無邪気な顔で相葉さんが笑ってる。
ちょっと不機嫌そうに二宮さんがムスッとしてる。
二階で見た写真を思い出しかけて、二宮さんに言い募ろうとした言葉と一緒に飲み込んだ。
その代わりに、
「ねぇ二宮さん、帰ったらココアが飲みたいな」
ねだるみたいに呟いた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年7月19日 17時
