写真 ページ38
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自分で落とした言葉が妙に反響して気恥ずかしくなる。
ドキドキ鳴ってる鼓動を落ち着かせるみたいに自分で両腕を抱え込んでいたら少し前にこうしてお風呂で私を抱きしめた二宮さんの腕の感触を思い出した。
一人ぼっちの浴槽はなんだか広く感じられて落ち着かない気分になる。
あの日の二宮さんはなんだか弱弱しくて。
しがみつくみたいにした手のひらはホントは何をつかみたかったのかな…って、ちょっとだけ考えたりして。
すっかり温まった息を吐き出したら、冷え切っていた喉がその熱に耐えかねてゴホと咳が出た。
お風呂から上がってお店の方に戻る途中。
私は相葉さんの部屋に飾られていた写真立てに気が付いて思わず足を止めた。
吸い寄せられるみたいにその写真を覗き込む。
そこには四人の男の子が映っていた。
みんな無邪気な笑顔を浮かべている。
しばらく…いや、実際は数秒程度だったんだろうけど、四人の顔を見つめて私はそっと店への階段に足をかけた。
一歩階段を踏むごとに、今見たものは忘れてしまおうと思いながら。
お店の方に戻ると二宮さんがタオルをもって待ち構えていて、私が椅子に座るなりそれを頭にかぶせられてわしゃわしゃと髪を撫でまわされる。
「わっ…何するんですか二宮さん」
「この間の仕返し」
「仕返しって何ですか仕返しって」
くくっと喉で笑った二宮さんは言葉とは裏腹に優しい手つきで私の髪を乾かす。
「相葉さんは？」
「タクシー呼んでくれてる。それでうちに帰ろう」
「…はい」
当たり前みたいに二宮さんは私を連れ帰ってくれるつもりなんだって思って、嬉しくなる。
今はほかの誰よりも、二宮さんのそばが安心できた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2019年7月19日 17時
