レンタル婚約者―2―【赤司征十郎】

レンタル―55― ページ14

季節は変わり、あっという間に秋風が吹き抜けると冬がやって来た

街はクリスマスに向けて赤と緑の装飾で埋め尽くされている




『！……違うか』




私はいまだに赤い物に反応しがちである

もう既に、みんなでバスケをした日が何年も昔のように懐かしく感じる


その時、携帯に着信があり、ディスプレイを確認すると高尾先輩からだった




『もしもし、桜庭です』


高「よっA。元気にしてるか？」


『はい、元気ですよ。先輩も元気ですか？』


高「俺は上司にこき使われまくりでもう大っ変」


『アハハ、お疲れ様です』


高「それでさ、25日誕生日だろ？真ちゃんも呼んで集まろうぜ！」


『でも……世間はクリスマスですよ？私バイト休めるかどうか……』


高「それなら空いてる日教えて！いつでもいいからさ！」


『わかりました。シフト出たら連絡しますね』




相変わらず優しい人たちだな

高尾先輩にも赤司さんの事を話してある。納得いってない感じだったけど、私が決めた事なら応援してくれると言ってくれた

そういえばせっかくのクリスマスなのに……先輩達は彼女と会ったりとかしないのかな？

まぁ、いたら私の事なんて誘わないか


私は自傷気味に笑いながら、バイト先へと足を進ませた




『え……25日休んでもいいんですか？』


「うん、いいよ。誰も希望休出してないし」


「私も彼氏とは24日に過ごすんで、桜庭さん休んでも大丈夫ですよ！」


「Aちゃんいつも頑張ってるし、25日くらい休みなよ」


『あ、ありがとうございます』




ダメ元で休めるか聞いたのに、あっさりオッケーが出てしまった

これで夜だけは時間が空けられる

今まで誕生日やクリスマスなんて、忙しく過ぎて行くだけだったのに……

今年は少し、楽しみだな

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