レンタル―54― ページ13
『お見苦しい所をお見せしました……』
やっと一息ついたところで、私たちは先程のコートのベンチに腰掛けた
黒子さんが近くの自販機でジュースを買って来て「今はこれで冷やしてください」と、冷たい缶を手渡した
私は小さくお礼を言い、そのひんやりしたアルミ缶を泣き腫らした瞼に当てる
すると、熱をもった瞼がヒリヒリと痛み、私がどれだけ泣いたのか知らしめているようだった
緑「少し落ち着いたか?」
『はい……』
黒「よかったら僕も話を聞いてもいいですか?」
私はその問いに頷いた
黒子さんなら話してもいいと思えたし、むしろ聞いて欲しいとさえ思っている
『私、赤司さんに告白されて……断ったんです』
緑「それは……赤司が嫌いだからか?」
『いいえ……むしろ、嬉しくて、ドキドキして……私も赤司さんの事が好きなんだって気付きました』
緑「……?2人は両想いじゃないか」
黒「緑間くん、桜庭さんの気持ちを最後まで聞いてみましょう。何か事情があるんですよね?」
本当に黒子さんには何でも見透かされているような気がする
私はまた話し出した
『緑間先輩は知っていると思いますが、うちは昔から貧乏なんです。双子の弟と妹もまだ10歳なのに、借金まであって……』
それから2人には家の事情、仕事の事情、赤司さんとの出会い……
全てを打ち明けた
『こんな想いをするくらいなら、私はレンタル彼女をやめようと決意しました。それは赤司さんにも言ってあります。でも……』
レンタル彼女をやめるからには、私は他の仕事で手一杯になる
赤司さんと付き合ったところで、迷惑しかかけられない
『好きだから、迷惑かけたくないんです。心配もかけたくない。私は自分の気持ちを押し通す為に……家族を犠牲にすることはできません』
すると、緑間先輩が私の頭に手を乗せた
緑「桜庭、お前はよく頑張っているのだよ」
『うぅっ……泣かせないでくださいよ……』
緑「わ、悪い;;」
緑間先輩は慌てて手を離すけど、その不器用なりの優しさがくすぐったくて、少し顔が綻ぶ
黒「桜庭さんは……後悔はありませんか?」
『!』
その質問は針のように胸を刺したけど、私は答えた
『はい。もう、いいんです。私は私の、赤司さんは赤司さんの、それぞれの日常に戻るだけですから』
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みかん(プロフ) - みさきさん» ひゃぁぁぁ完結した後でもコメントいただけて嬉しいです(´;ω;`)!!私の作品が少しでも楽しんでもらえてよかったです(*´`) (2019年11月17日 17時) (レス) id: f2ad1a9682 (このIDを非表示/違反報告)
みさき - すっごい面白い!いゃ〜自分名前でやるのはドキドキが、止まらなくなりますね! (2019年11月17日 16時) (レス) id: 8ee38b95ef (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 紅蓮さん» わぁぁぁありががとうございます(泣)そう言っていただき、作ってよかったなと勇気付けられました( ´:ω:` )他作品や新作でも頑張ります!!最後まで読んでいただき本当にありがとうございました(泣) (2019年9月26日 17時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
紅蓮(プロフ) - この作品とっても好きです!完結したことが嬉しくもあり、悲しくもあります笑次も頑張ってください! (2019年9月26日 15時) (レス) id: 167b4beba7 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - ハル子さん» コメントありがとうございます( ´:ω:` )!!他作品も読んでくださったんですね!!その中でもこの小説を気に入っていただき本当に嬉しいです(泣)更新がんばります!! (2019年8月30日 9時) (レス) id: 7906a9a948 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みかん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/alice99101/
作成日時:2019年8月29日 14時