36話 ページ37
「救いようのねぇ輩ってやつぁ、居ちまうんだよなァ」
海辺の街の、頬を撫でる潮風は、冴え冴えと冷たい。あの家から引っ越して、随分と経った。
「なんスか？昼間っから飲んだくれて、娘と嫁さんに逃げられた男の話してるんスか？」
「いたたたたた、耳が痛ぇぜ。……まあ、俺も大概だけどよ、馬鹿は死なねぇとなおらねぇし、クズは根っからクズなんだよ」
「そーなんスかねぇ」
オレはおっさんに渡された色々なナッツの入った甘いパンを手持ちの袋に入れながら考える。
「聞いたか？アンタがやったシャチの仲間どもが、スラムからガキ買って人身売買で一儲けしてるって話……」
「マジっスか」
「ああ、マジだよ。酷ぇモンだぜ、売れなければ解体して魔法薬の材料として売ってるらしい。アンタ……尻尾切られたのは気の毒だが、あの家のヤツに手出して、そのくらいで済んで良かったのかもな」
「そっスね。あ、じゃあお疲れ様っス」
「最近この辺りも物騒だから気ぃ付けろよ〜」
そんな厄介者と関わってくれることに心の中で感謝をして、オレは家へ足を向ける。わざと人目につかない路地裏に入って──声を掛ける。
「さっきからずっとオレの事見てる奴、用があるならさっさと言って欲しいっス」
「……お前が、ラージロワのオルカ……Aを殺害したとの噂は、本当か？」
「ああ……やっぱその件っスか。アンタ獣人だからどの件かと思ったっスけど。最近マジであの家活発っスね〜」
「答えろ。……いや、いい。噂が立っている時点でこっちのモンだ」
がき、とマジカルペンで振り下ろされた剣を止める。相手を目視する。狐の獣人だけれど、見かけより筋肉がある。今の一太刀も結構洗練されてて、実戦経験があるのがわかる。
冷や汗が出る。
「狐くんは、あの家の仲間に入ってんのはどうしてっスか？誰か助けたい人が居るのに、お金に困ってて仕方なく？」
「は？違う。俺は女の腹ァ掻っ捌きたくて仕方ねぇんだよ。ああ、はやくそっちの所属になりてぇ……」
「うーん、……クズっスねぇ！」
オレがそう大声で言い放って狐くんから全力で飛び離れた瞬間、狐くんの後ろから手が伸び、狐くんの頭を掴む。
狐くんは驚いた顔をして振り向こうとするが、振り向けない。
だって、もう、首が身体と繋がっていないから。
「ラギちゃ、おかえりぃ」
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功徳(プロフ) - オパールさん» ありがとうございます！よろしければ他の作品も読んでくださると好みに合うかもしれません🥰 (11月10日 20時) (
レス) id: e0d582f997 (このIDを非表示/違反報告)
オパール - とーっても…面白かったです！この作品を作ってくれて、ありがとうございます！ (11月10日 19時) (レス) @page42 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 新.sinさん» 一気読みありがとうございます！これを気に入ってくださった方は私の別作品も気に入っていただけそうなのでおすすめさせていただいております……💕重ねてお読みいただきありがとうございました🥰🥰🥰 (2022年8月14日 16時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
新.sin(プロフ) - 一気読みしてきました。私が占ツクで見てきた作品史上最も好き！！って思いました！！素敵な作品をありがとうございました！ (2022年8月14日 15時) (レス) @page42 id: 03f8c9269c (このIDを非表示/違反報告)
自分(プロフ) - 黒恋さん» わーーいありがとうございましたお疲れ様でした〜！！！本当にありがとうございます……💕💕💕嬉しい嬉しいなあ…… (2022年6月2日 18時) (レス) id: a1f82c8f4e (このIDを非表示/違反報告)
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