【◇】私と彼の秘密の文通 3

文通107 ページ19

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「ここに来たってことは堤ってもしかして野球部入る前って文芸部だった？」

「はい！」

「じゃあ去年の文化祭も作品出してたりする？」

「……一応出してたんですけど…」




「凄い情けない作品で…」と苦笑いをすると、「どんなの書いたの？」と聞かれた。




「甲子園に向けて奮闘する男の子の…」




そう言うとクスッと笑った小湊さん。

なんかおかしいこと言ってしまったか、と思いわたわたしてるとそれに気づいた小湊さんが「そんな悪いこと言ってないから大丈夫だよ」と言ってくれた。




「ただ、やっぱ堤だったんだな…って」

「え？」




「去年、堤の作品見て色々共感して部員の何人かにも勧めた」





えっ…ていうことは…



あの手紙の人が言ってた"先輩"っていうのは小湊さんだったんだ…



1人でぐるぐると考えを巡らせていると

「どうしたの？」と視線を合わせてくれた小湊さんの距離に少しびっくりして「わっ」と小さく叫ぶ。




「あ、いや！ちょっと考え事しちゃって…！！」




手を交差させて否定するとふーん、とちょっと納得してなさそう。

だけど、手紙のことは誰にも言いたくなかった。




やっぱり私と彼だけの秘密にしておきたい。





「あ…」



そんなことを考えているとふとあることに気づいた。



小湊さんが何人かに勧めたってことはその中に手紙の相手も入っているはず。

しかも2年生ということは特定出来てるから…



今、2年生の中で勧めてくれた人の名前を小湊さんに聞けば、1人でなくとも何人かに絞れるはずだ。





「すみません、小湊さん」と気づけば勝手に口が開いていた。




「何？」と不思議そうな顔をする小湊さんに

「あの、二年生の中で勧めて下さった人ってどなたですか？」と勢いよく聞いた。





「んー…確か御幸とか倉持とか…あ、ちょうど夏大の時のレギュラー陣には勧めたよ」





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