【◇】私と彼の秘密の文通 3

文通104 ページ16

御幸




やっと開放された…と思いながら着替えようと控え室に入ってシフト表を見ると

堤や倉持はもうとっくに終わっているということだった。



こりゃ置いてかれたな…と思っていると

ふいに控え室の入口から「入って大丈夫？」という声が聞こえてきた。




どうせクラスの連中だろうなと思い「どーぞ」と返事をしてドアを開ける。






「……え、堤？」




あれ、倉持と先に行ったんじゃなかったっけ？という疑問を察したのか、

堤は「誘ったの私だし」と笑った。





「はい、お疲れ様」




そう言って渡された缶を見て思わず笑う。




「これってカフェオレ？」

「……ごめん、何がいいのかわかんなくて微妙なラインを…」




「嫌いだった？」と凄く不安そうに聞かれたので

「別に嫌いじゃないけどどっちかっていうとブラックの方が良かったかも」と少し意地悪をしてみる。





「でもやっぱり御幸くん人気だね。

さっきもシフトの時間終わりだよって伝えようとしたらあの様だし」

「……別にそこまで人気になりたいってわけじゃないんだけど」




「あ、それモテる人しか言えないセリフだからね」と口を膨らます堤に「まーそうかもな」とケラケラ笑う。




「倉持は？」

「沢村くんと戯れてる」



「……アイツら来たの？」と怪訝な顔をすると

「なんか先輩達の勇姿を見たいんだって」とクスクス笑って言った。




「御幸くんはこの後どっか行きたい？」

「……特別行きたい場所はねーな」




「じゃあ私行きたい場所あるから一緒に行こ！」といきなり立ち上がった堤に

「狭いからあんまはしゃぐなよー」と笑っておいた。






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