東卍の白豹Part2

85話:赤に染まる2 ページ40

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一虎を安心させる様に、笑う余裕なんてないのに
雪はぎこちなく笑う


『誰の、せいでもないからね？
わたし、一虎の片割れだよ？
そんな簡単に、やられないって...
私がいなく、なったら、寂しがりな虎が、泣いちゃうから
私＿＿＿』


一虎「雪ｯ、ごめっごめん！！
オレっこんなつもりじゃなくて...っ」





その時、フラッと雪の体が大きく傾いた

それを真一郎は急いで受け止める



真一郎「雪！！もういい！！もう動くな！！
...っどうして、どうして！オレを庇った！？馬鹿！！」

『し、いちろ...くん？』





雪はぼんやりと真一郎の顔を見ると
両手を伸ばして、頬をペタペタ触る



『けが、ないね...？』

真一郎「雪が庇ったからねぇよｯ！！」

『よかっ、た...そうちょうが、けがしたら
みんな、しんぱいしちゃうよ』

真一郎「オレ、もう総長じゃねぇんだけど...ｯ
雪が怪我したらみんな心配するんだぞ！？」



『ねぇ、しんいちろうくん...おねがい』

真一郎「雪？」






雪は真一郎の体温を感じて目を細めた


『もっと、つよく...だきしめてほしい』




その言葉に、遂に耐えきれず涙を流す真一郎

雪の言う通り、腕に力を入れて強く抱き締める
隙間がなくなるぐらいピッタリくっ付く
真一郎が着ている白いTシャツが雪の血で
ジワジワ赤く染まっていく


雪は力なく真一郎のシャツを握った




真一郎「わかった！！何でも言う事聞くからっ！！
幾らでも願い事聞く！！だからっ、頼むからｯ死ぬな！！」



『...しん、いちろ、くん...の、うでのなか
あったか、ぃ...』





いつだったか、雨の降る日に同じ事を言われた


雪は静かに涙を流すと瞼を閉じていった
シャツを握っていた雪の手がダランと落ちた

真一郎はそれに目を見開いて絶望した




真一郎「...雪？雪ｯ！？
うそだろっ、やめてくれ...そんな最期みてぇな事っ
言い逃げなんて許さねぇぞ！！起きろよ...馬鹿ｯ！！」







サイレンの音が近付いてきた












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ごめんね、真一郎君...大好きだよ


こんな事言ったらきっと、忘れられなくなっちゃうよね？
だから我慢するよ



私、我慢するのは得意なンだよ？

聞き分けのいい子でしょ？
だから最期の我儘ぐらいは許してね？




抱き締めてくれて、嬉しかったよ









お兄ちゃん、もう泣かせないって決めたのにごめんね？


兄孝行できなくてごめん

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