検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:14,453 hit

8.疑問 ページ11

.



年齢を知ったところで、空間を沈黙が襲う。
嫌な沈黙といえばそうなのだろう。
誰も口を開こうとしない。


『…。』


そして何故、白髪オールバックの爺さんに見つめられなくてはいけないのだろう。
確かに、私は"以前ここにいた"。

だがしかし、ここの店員の顔はまるで記憶にない。

何かに抜き去られたように、すっぽり忘れているのだ
思い出そうと何度も試みた。
それでもダメだったから、ああもういいやって、諦めた。


『……帰りたい。』


「んじゃま帰る?
お目当は珈琲と偵察だったわけだし。」


くいっと一度服を引っ張られ、沙絢もそれを肯定した。
私も異論反論はない。
あったところで強制退却させられるだろう。


「待てよ…。」


私達が変えることは、どうやらまだまだ先なようで。


「あんたら、一体何者だ。
優羽と親しげに話したり、沙絢連れてたり。
第一、なんで店長はそいつのことをそんな眼差しで見るんですか。」


職務質問かい。
沙絢は勿論、美紅も口を破(わ)ろうとはしない。
破ったところで、あとでどんな仕打ちを受けることか。
考えただけで冷や汗が垂れる。


「…董香ちゃんは、知らなくて"当たり前"だ。」


「当たり前って…。」


"知らぬが仏"という言葉があるように、店長と呼ばれたじいさんは董香に向かってそう言った。
しかしそれは、私にも向けられている気がしてならなかった。


「…A姉、帰ろ。」


『…あぁ。』


「ほいじゃ、お邪魔しました〜。
また今度ゆっくり珈琲飲みにくるよー?
……って、ちょっと!髪の毛引っ張らないで禿げる!!」


『黙れ剛毛。』


最後まで金木のそばでニッコニコしてた美紅(の髪の毛)を引っ張り、出口へ向かう。
途中、董香が怒ったような口調で呼び止めを図ったが、私達はそれをガン無視。
巻き込まれたくない、そんな気持ちが先走った。

知らずと、ドアを強く閉めていたのだろう。
穏やかな鈴の音が、荒く木霊した。







.






.








一刻も早く、離れたくて。

9.制裁→←7.美食



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
15人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ロンリーアクエリアス(プロフ) - ぽぴいいいいいいいい!!!!!!! (2017年7月18日 13時) (レス) id: 1e3e402f09 (このIDを非表示/違反報告)
羊希(プロフ) - そうだぁ!! (2016年3月27日 13時) (レス) id: 316e3f7b35 (このIDを非表示/違反報告)
ロンリーアクエリアス(プロフ) - そうだそうだあ! (2016年3月24日 14時) (レス) id: 1e3e402f09 (このIDを非表示/違反報告)
皇シキ - 続きはいつになるです?早く、早くですよ!(^o^) (2016年3月22日 11時) (レス) id: ae9b578306 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - 『REVOLVER』を『YouTube』で検索!! (2016年2月26日 15時) (レス) id: 8c56ce6439 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:雄飛 | 作成日時:2015年5月8日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。