♀/切ない/↑と関連気味 ページ13
私は、彼の腹部を刺しました。
彼は世辞にも良く出来たとは言えない彼氏でした。
優柔不断で、判断力が鈍い彼であったものの、
それが気にならない程に
とても優しく、心配りの上手な私の自慢の彼氏でした。
私との相性はまずまずでした。
しかし、恋人として良好な関係ではあったと思います。
彼は人柄がよく、また性格が性格でしたから、友好関係は広かった。
外国の人や定年を迎えた老人、
終いには小学生くらいの子たちとも仲が良くありました。
勿論、女性との交流も。
彼本人は「友人」と言っておりましたが、
向こうの女性側は、虎視眈眈と恋人の座を狙う方が大半でした。
彼女たちからすれば私は敵でしかなく、
言葉の暴力や陰湿な嫌がらせは当たり前で、
時には筋肉質の男性を従えることもありました。
潔く身を引いてくださる女性は極僅かながらおり、
その方たちとはとても良い関係を築けました。
彼は鈍感で、人を疑うことが苦手でしたから、
私への悪意や殺意に気づくことはありませんでした。
個人的にそれが安心できうる所でした。
なんせ、私がそんな目に当っていると知れば、
心配してくれるでしょうが、友人を信じきれなくなるでしょう。
彼女たちもその辺りは配慮していたようでした。
まぁ、結果的に私は彼を刺してしまったのですが…
動機を挙げるならば、私の人間不信ですかね。
可笑しいですよね。彼の心配をして自分がなってしまうなんて。
私は彼女たちの攻撃に負けたんです。
そう、負けてしまった。
だからといって私もバカではありません。
必死に頑張っていた私の最後の引き金を引いたのは
彼でした。
私は彼を刺したことを後悔しています。
でも、私の思い伝えられたことは後悔していません。
ああ、すみません。私の一人語りになってしまい...
「気にしないでください。懺悔とはそういうものです」
ありがとうございます。
「聞き手としておこがましいのですが、」
なんでしょうか。
「何を伝えたのか、お聞きしても?」
一言だけ。
たった一言だけですけど、
____「あいしてる」を伝えられたなら、
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作者名:秋花火 | 作成日時:2015年12月3日 20時