【御幸一也】夏祭り ページ7
【御幸→1年生、Aさん→2年生】
「…去年はみんなで花火したんだよねー。
で、今年こそ花火見に行こう!って言ったのに練習したいからって断られちゃったー。」
「…じゃあ行く?」
「え、いいの?」
「あれ、今の誘ってたんじゃないの?」
「誘ってました!!やったー!楽しみ♡」
という事で地元の小さい祭に行くことになったんだけど……
「A食べ過ぎじゃね?」
「え、そう?あ、焼きそばー!」
全部食い尽くすのかという勢いで次から次へと屋台で買い物をするA。
「今日練習ハードだったしさぁ、お腹すいちゃって」
「はは、色気ねーの」
俺の一言でピタッと動きを止める彼女。
「ん?どうした?焼きそば買わねーの?」
「……うん、やめとく!色気出したいし!」
「別に気にしなくていいのに」
どうやら俺の色気ないという一言が堪えたらしい。
「やっぱり歳上の余裕みたいなの見せたいし?」
「別に一個しか変わんねぇじゃん。」
「…一也は年下のくせに大人っぽいとこあるよね」
「Aは年上のくせに子供っぽいとこあるよね」
「……浴衣でも着てこれば良かったかなー」
「それは思った。浴衣見たかったし」
「……あ、もうすぐ花火が始まるみたいですわよ」
「それ色気違くね?」
そんな会話をしながら人混みを少し避けつつも花火が見易い位置へと移動した。
「わーキレイー!すごいー!キレイー!!」
「はっはっは、はしゃぎすぎだろ」
俺より少し前に立って子供のようにはしゃぎながら花火を見上げるAの後ろ姿を見つめる。
暫く花火を堪能した後、不意に彼女が此方を振り向く。
「一也ありがとね、一緒に来てくれて。私今凄く幸せ!」
そう少し照れた笑みを浮かべる彼女は花火の灯りに照らされて、凄く綺麗に見えた。
「……今のは少し色っぽかったかも」
「え?なんて?花火の音でよく聞こえなかったんだけど!」
そう言って耳を此方へと寄せてくるA。
「別に、大したことじゃねぇから」
「なにそれ!逆に気になる!!」
「……花火より、Aのほうが綺麗だよ」
ねぇ!なんて言ったの!大したことじゃないなら言ってよ〜とわーぎゃー騒ぐ彼女の耳元でそう囁いてやる。
「なっ……」
バッと俺から離れると囁いたほうの耳を手で抑えパクパクと口を動かしている。
「はっはっは、さーて帰って素振りするか」
「ずるい……」
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作者名:げび | 作成日時:2016年7月15日 22時