※lovelessmarriage※30 ページ36
『…杏里、大丈夫か？』
赤「…杏里？すまない。僕としたことが、手荒な真似をしてしまったね」
彼女の背中に手を擦りながら病室の中に差し込んだ月の明かりが強くなり何気なく床に横目をやると、床に数滴落ちていて赤くて新鮮な血がそれに光って輝いていた。
杏「あ…。ごめんなさい。お兄…征…あの…血が…怖くて」
赤「…すまない。杏里…大丈夫か？」
一度、杏里の身体を放してポケットに入れておいたハンカチでその血を拭いとり、ポケットに戻した。
赤「…ところで、あいつは一体…」
僕が体勢を戻し…見上げたら彼女は、
笑っていた。しかも、普通に微笑むのではなく、僕を欺くような笑い方をした。
杏「ふふ…ねぇ。お兄ちゃん…あたし、もうすぐ死ぬの…」
急に何を言い出すかと思ったら…
赤「何を言っている…死なせはしない」
血を見たからか。それとも、何か吹き込まれたのか。もしかしてさっきの奴か。
杏「本当。…征は、優しいね。あたしなんかの為に毎日…でも、知ってるの」
頼むから言わないでくれ。
杏「…私、このままじゃいなくなっちゃうよっ。征、知ってた？」
異変に気付いたのはついこの間だ。この間、杏里を抱いた時だった。
赤「…知っていたよ。だからって、そんな簡単に死ぬなんて言うな。僕の言うことは絶対だ。必ず、お前を救うと約束するよ」
杏「征、ありがとうっ…ありがとう」
ただ、『ありがとう』を連呼するだけの杏里。それは、安心して僕の言うことを聞いてありがとうを言ってるのではなく、『慰めてくれてありがとう』と言ってるように聞こえた。
赤「…約束だよ。また、来る」
そう言い彼女の唇に自分のそれを重ねると血の味がした。
その後静かに病室を出て…彼女が泣くのを抑えて唇を噛み締め過ぎたんだろう。その後僕の耳には、誰かの泣き声が聞こえた。たが、気にしてる暇は無い。僕は、仕事に行かなくてはいけないから。
明るい月が僕の顔を映し出した。
※lovelessmarriage※31→←※lovelessmarriage※29
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 458人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「黒子のバスケ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さぁーちゅ(プロフ) - 続きのパスワードが分からないんですが、教えてもらえませんか？ (2018年10月18日 21時) (
レス) id: 38bdb98721 (このIDを非表示/違反報告)
ふぉらわー - キセキの世代が執事になるなんて…///すごくドキドキしました！(*´`) (2016年5月18日 20時) (レス) id: 8ad82dbea3 (このIDを非表示/違反報告)
もも - めっちゃ面白いです！ あの、23話の赤司さんの最後のセリフ…”ん”が抜けてるかと…気を悪くされたらごめんなさい！！ (2015年5月5日 14時) (レス) id: 84d22be885 (このIDを非表示/違反報告)
とーくろ - 素晴らしすぎます！文章構成も表現力も何もかもが完璧です！！テイク○もおもしろいです！更新頑張ってください！！ (2015年3月24日 18時) (レス) id: 5f29c980e4 (このIDを非表示/違反報告)
デビP - センスありますねぇ！！イチャイチャや、シリアスとのバランスもいい。なおかつ、テイク○○でのキャラ崩壊…。すばらしい！！あ、落ちはなんでもいいかも←ぜひがんばってくれたまえ。 (2015年3月10日 16時) (レス) id: b390e522ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：チョコホイップ | 作成日時：2014年4月27日 13時
