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「…っ…口、開けて…」
「ぁ…ま、って…んふ、ぅ…っ…!」
口内に侵入した舌はザラザラしていて、少し驚いてしまう。本当に猫なんだと。驚いた王さまも口を離して「舌、ザラザラだなー…」と顎を掴んだまま親指を口内に突っ込む。
器用な指先に舌を撫でられる。噛まないようにと惚けて口を開けていると、王さまが微かに笑みをこぼす。
「やらしー顔してる」
「ッ…お、まえいい加減にしろよ…!この状況で治る方法とかちゃんと考えにゃぁっ!?」
本日二度目になる、口元を掌で押さえるこの行事。
にゃ、と出た自分の頭をかち割りたくなる。
王さまが面白いものを見つけた、と言わんばかりに本来私のものではない尻尾をきゅっと掴んできた。
「うわー、遂に「にゃ」って言ったなおまえ。そういう固定観念にとらわれてどうするんだよ。
もっと自分らしい新しい世界観作り上げてみろ!」
「う、うっさい…つか、はなせよ…!!」
しかし全くこちらの言う事を聞かずに尻尾を触ってくる。おかしい。
未知の、何かも分からない感覚が身体を襲う。電気が流れたようにびりびりなる背中。
「…っん、やだ…っ、やめろって…の、ぁ…ッ!」
「ごめん無理」
「っざ、けんな…んっ、く……ぁ…」
楽しそうに弄ぶ王さまがそこに居る。
困ったものだ。
そしてふと、何かに気づいたように
「あ!!」と声を漏らす。
「ちょっと前にさ、
おれが小さくなったのあっただろ?」
「え…あー、あったような気がする……」
「じゃあ同じ方法で行けば治るんじゃないか?」
「おなじ、方法……」
頭をよぎるのは赤裸々なフラッシュバック。
記憶を抹消したくてたまらなかった当時は、王さまも抹消しなきゃ気が済まないと思っていた。
それは人の泣き顔を見て「たまんない、もっと見せて」とか人にキスをするように要求してしてやったのにもかかわらず「へやくそ」と辛辣なコメントをよこしたあの日だ。
私はすぐに王さまに「絶対嫌だ!!」とシャウトした。しかし相変わらず人の話を聞かない王さまは猫のように喉を鳴らしながら顔を近づける。
若干息が荒くなっているのが珍しい。
「…一緒に治そ?」
「びょ、病院行こうぜ。そしたら見つかるかもしれないしさ!」
「無理、今すぐAがほしい」
「本性だしやがったな!!主旨を忘れんな!!」
後日普通に治りました。
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眠井さん(プロフ) - 更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年2月26日 1時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
まえむ - 続きが見たいです!更新待ってます! (2019年12月30日 1時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - お願いします! あっ、でも無理はしすぎないで下さいね。お体にお気をつけて。応援してます! (2018年4月20日 18時) (レス) id: adf71d9ee3 (このIDを非表示/違反報告)
かきのたね(プロフ) - お二人共コメント返信遅くなりすみません!ぜひやらせていただきます! (2018年4月20日 11時) (レス) id: 927894499b (このIDを非表示/違反報告)
ユキ - 合コンネタやってほしいです!リクエストでいいですか? (2018年4月19日 22時) (レス) id: adf71d9ee3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かきのたね | 作成日時:2018年1月2日 23時