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9話 ページ9

加州君は私の口の布を外すと、受話器を渡してきた。





「はい、お電話変わりました。」



『本丸出陣指導部の者です。
この本丸はブラックだと伺ってはいるのですが、
それでもそろそろ出陣していただきたく思いお電話しました。』



「そうですか。
それは申し訳ありません。


しかし出陣よりも、彼等のメンタルケアの方が重要ですので。」



『世界平和より、物のケアを優先すると?』



「彼等は神でありながら、
人間の体で生き、そして心も持っている。

彼等は人です」



『はははっ、
面白い事を言いますね。


しかし、このままずっと出陣がないとこの本丸の存在意義がなくなる。

寧ろ金がかかるだけ迷惑だ。


1ヶ月後、貴方の本丸へ向かいます
それまでにそのブラック本丸を普通の本丸にしなさい。』





そこで電話はプツっと切れた。


何て自分勝手な人達なんだろう、

私の前の審神者達も、この人も、
彼等の事を物以下として扱っている。


私は悔しくて唇を固く結んだ。



お待たせしました
2人共、入って来てくださいと、
障子をガラガラ開けた。


すると彼等は目を大きく開いた。





「………くち、いたくはないんですか」





私はあぁ、と口元をさすった。


縛られていたせいで口が乾き、
唇と口の端が切れている。

そして頬には布で強く結ばれている証拠に、
赤紫の痣が出来ていた。





「痛くは、ないですよ」


「うそです!
ちいさなキズでもいたいんです……
ぼくたちは、それをよくしっています」





私が少し屈むと、
今剣君は私の顔へと手を伸ばした。


心配そうな、
傷付いた様な、

そんな瞳で私を見つめる。



きっと、過去の体験とシンクロしてしまっているのだろう。



だから私にもこんな言動をとってしまっているのだろう。


そう分かっていても、
ここに来てから、
どれだけ辛くても心配される事は無かった。

だから嬉しいとか、そんなのではなくって
安心してしまったのだろうか、

気付いたら視界がぼやけていた。





「い、たいよ………
けど、それよりも、心が痛いの……!

私は何もしてないのに、なんで!

痛い、痛いよ…!」





糸がプツっと切れた様に、涙は止まらなくなってしまった。

私は立っていることが出来なくなり座り込んだ。


そんな私にさらに同調してしまったのか、
今剣君も、私にしがみつく様に泣き始めた。



痛い、痛いと泣く私達に、
加州君と薬研君が慌てているのが分かる。



涙は一向に止まらない

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設定タグ:刀剣乱舞 , とうらぶ , 加州清光   
作品ジャンル:恋愛
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赤羽美海(プロフ) - 槝さん» コメントありがとうございます!!私的に三日月よりも初期刀の加州に「自分は1番古株だから、どんなに苦しくても頑張らなきゃ」って思ってたら萌えるな、と思い作りました。私も楽しく書かせてもらっているので、楽しいの共有が出来て嬉しいです! (2018年9月14日 18時) (レス) id: 49475d5f9c (このIDを非表示/違反報告)
- 楽しく読ませて頂きました!ボス=三日月が多いのは同感です、自満で小説書くくらい思ってたので共感者がいて嬉しかったです* (2018年9月14日 7時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤羽美亜 | 作成日時:2018年7月25日 18時

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