156:センラside ページ22
小さい箱によくこんなに入るなと他人事のように自ら無理矢理乗り込んで行く人を眺めていたけど俺達もこれに乗るのかと思うと頭が痛くなる思いだった。
行きはうらたんに送ってもらったから電車がこんなやばい乗り物なんて知らんかったなぁと遠い目になる。
でもそんなこと言ってられない。
次の電車には乗れそうと平然とした顔で言うAちゃんと離れないようにしないとなと電車のドアが開いて降りてきても満員な電車を見ながら思った。
(なんやこれ...)
諦めて次の電車に乗ればいいのに尚も乗ってくるスーツ姿の男たちにイライラする。
乗り込めばすぐにはぐれそうになるくらい遠慮なく押されAちゃんの肩を抱いて端に寄せた。
毎日こんな大変な思いをしてるのか。
遅くまで仕事して帰ってきて俺のわがままをきいて...
あまり家で疲れさせないようにしようと視線を落とすと小さい身体を更に小さくしているAちゃんを見てなんとも言えない気持ちになる。
片腕で周りから潰れないよう守ってはいるものの気を抜けばすぐに押し潰されてしまいそうだ。
(それにしても凄い数やな)
周りを見渡すと人間たちで所狭しと溢れかえって吐き気がする。
似たような顔と似たような恰好。
俺には見分けがつかないと眺めながら思っていると胸元が少し重くなった。
元から近かったけどより密着したAちゃんを抱き締めてしまいそうになる。
腕の力を抜いてしまえば周りの押し寄せてくる人に潰されそうな気がするから我慢したいのに胸元以外にも重みの増した自分の身体に可愛い事をしてくれるなぁと口端は上がった。
ようやく一駅すぎるとさっきよりはマシになったもののまだまだ込み合っている。
隣の車両が見える扉にAちゃんを立たせて自分の身体で人の波から守っているとガラスに着いていた腕に手が置かれた。
(何その可愛い顔)
見上げてくる瞳が甘えているような気がした。
心なしか尖った唇に触れるといつものようにキスしてしまいたくなる。
すぐに唇を離すと少し屈んだ肩に顔が埋められて恥ずかしそうな雰囲気が可愛い。
我慢出来ず可愛いと言うと腕を掴む力が少し強くなって余計俯いてしまった気配がした。
からかう気持ちで耳に息を吹きかけると肩を震わせて反応する身体。
何度か繰り返すと涙目の瞳に可愛らしく睨まれて理性と戦う羽目になったからやらなきゃよかったと後悔した。
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時