『Ｗ』

°84° ページ35

結局のところオレがどれだけ能力を伸ばせるかに掛かっている、と肩を竦めたAに、そうだろうなと頷いてみせた。


「それの手がかりを今回の壁外調査で見つけられたらいいんだがな」
もっともらしい顔でそう言うと、Aは、いや今回は無理でしょ、とにべもなく否定する




そうか？と僅かな望みに縋り付くが、無理だってばと今度は顔も上げずに言われた

ムキになって、絶対見つけてやるから調査から帰ったら覚えとけよ、と唸った。



「いや、本当に今回は無茶はしないほうがいいって。
そういう調査じゃないから。」

軽い調子ではあるが、有無を言わせない乱暴さが滲み出ている。



「エレンはとりあえず死ななかったら上出来って感じだからほんとに張り切り過ぎないでよ」

片方の眉が釣り上がり、唇がキュッと結ばれる
分かったわかった、とオレは首を振り、Aの隣に腰掛けた



「お前こそ怪我するなよ、風邪ひいて身体なまってるんだから」



ブランクはもう解消しました、と自慢げに微笑むAを見て、前から気になっていたことをふと思い出した



「なあ、お前結局何位で卒業したんだ？トップ10には入ってなかったよな」




あー、と気の抜けた返事と共にAが顎に手を当てる




「多分11か22


……数字が揃ってたのは覚えてる」



相変わらずなAにほっとしつつも、さっきの調査から帰った後の約束が取り消されたことがなんとなく頭を掠めた。






＊＊＊
こんにちは、お久しぶりです。すずです。

すっかりご無沙汰してしまって申し訳ない限りです。こんなに長く待っていてくださったみなさん、本当にありがとうございます。


今回、受験が一区切り付いたので更新しました。手応えとしてはもう一年かな、という感じなので、余裕のあるうちに更新していけたらなと思っています。

いくつかある作品のうちで一番終わりが近いので、『W』を優先して更新していくつもりです。

気長にお付き合いしていただけたらありがたいです。

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