『Ｗ』

°60° ページ11

「ミカサ・アッカーマンは？」



右側から聞き慣れたミカサの返事が聞こえた



「君がミカサか


エレンが襲いかかったのは事実か？」



総統は容赦がない


人類のリーダーとしては当然だし、そうあるべきだとは思う


だが、その惨さを目の当たりにして、この人は本当に怖い人だと理解した




人類の為なら何でもできる人なんだろう




ミカサに、嘘だと言ってほしい



でもさっき目が合ったとき、気まずそうな表情をしたのはそれが事実だという暗示だろう





それでもほんの僅かに胸の内に残った希望を掻き集め、ミカサを見つめる




ミカサが下唇をギュッと噛み締め俯いた



そして、掠れた声で答える


「‥‥はい

事実です‥」




予想していたとはいえ、脳天を殴られた様なショックは受けた





周囲からも嘆きが聞こえてくる




やっぱりオレはミカサを‥‥‥


ミカサを殺そうとしたのか‥？




オレが、か？




自覚がないと言うのは一種の言い訳にもなる




でもそれを遥かに上回る恐怖ももたらす




自分では制御できない何かが体内にあるのだ




怖くて思わず身震いをした

°61°→←°59°

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す