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あの後、悠仁は面談のため五条先生と共に学長の元へ向かった。


途中、悠仁と先生は私に「大丈夫か」と何度も聞いてきたが、私は自分の心根に蓋をするように心配するなと嘘をついた。



……正直、めちゃくちゃウザイ。アイツの顔なんか金輪際二度と見たくないくらいには頭に血が上っている。


本当だったら拳の一つや二つぶつけたやりたかったが、如何せんあれは悠仁の体だ。

本気で弟を殴るなんてことは、さすがに私もできなかった。






「……虎杖Aというのは、君のことかな」






……五条先生に言われた通り建物の外で自然を眺めながら待っていると、どこからか私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

凛とすましているようで、どこか覇気の無い声。


私がそれに振り向けば、そこには白衣をまとった少しダウナーな雰囲気の女性が一人立っていた。


「待ってればそのうち迎えが来るから」と先生は言っていたけれど、それはこの人のことだったのか。






『ええと……あなたは?』


「私は家入硝子。五条とは腐れ縁でね……少しの間、君のことを頼まれた」


『……家入、さん』


「“硝子”で良い。堅苦しいのは苦手なんだ」






彼女は簡潔に説明すると、着いてこいとでも言うように私の前を歩き出す。

まだ状況が掴めない中、とりあえず私は置いてかれないように彼女の後を着いて行った。


カツカツと、硝子さんの履いたピンヒールが音を鳴らす。






「しかし、とんだ災難だね。こんなに可愛らしいのに、昨日の今日でこちらの仲間入りとは」






目の下の泣きボクロが可愛らしい硝子さんは、顔色一つ変えずに言った。


……可愛らしい、のかは置いておいて。

まあ確かに、災難ではある。特にアイツに絡まれることが何より嫌だ。






「ふふ……不満そうな顔だな」


『あ、いえ……これはその、さっきのことを引きずっているだけ、です』






向こうの挑発を真に受けてしまう自分が、酷く子供臭く思えてくる。


何を考えていたって、当分この「悪縁」を切り捨てることはできないだろう。


早いところもう少し大人になって、この日常にも慣れるようにしなければ。






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睡魔→←呼ぶな



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いか焼き - 好きです!!! 最高すぎます、、、応援してます!今から2を読んできます!楽しみすぎる…! (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです!!応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです!知らせていただき助かりました! (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます!ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします!間違えてたら申し訳ないです! (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年1月22日 17時

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