世話上手 ページ39
·
「姉ちゃん見ろよ!ポップコーンにアイスにクレープ!選び放題だッ」
初めての原宿に浮かれている悠仁は、ごった返す人集りの中流行りのお店の前をウロウロと散策していた。
かく言う私はというと、そんな悠仁を遠巻きに眺めながら伏黒くんの隣を歩いている。
『あんまり大声で呼ばないで欲しいなあ……楽しいのは分かったけど』
「……アイツ、いつもあんな感じだったんですか?」
『うん。基本はあのまんまだよ』
騒がしいと言われれば騒がしいけれど、傍から見ていれば面白い。
あいつは他人を笑顔にする才能のようなものがある……俗に言う、善人ってやつだ。
基本的に悠仁のテンションは上がったらそのままのことが多いけれど、下がる時はとことん下がる。
そんなあいつの人を信用しすぎる癖が、いつか裏目に出るのではないかと思って幼少期から世話を焼いてきた。
『あの感じで目を離すと、ふらっと居なくなっちゃうことがあるから大変なのよ……特に小学生の頃は酷かった』
「Aさん、面倒見良いんすね」
『えー、そう?』
「……少なくとも、俺はそう思いました」
そう言って柔らかく笑った伏黒くんは、とても綺麗な顔をしていた。
睫毛は長いし、鼻も高くておまけに色白。最初はもっとツンケンしているのかと思っていたけれど、打ち解けてみれば気の優しい青年だということが良く分かる。
悠仁とは少し違うけれど、彼も穏やかな雰囲気だ。
『……ありがと。結構嬉しい』
姉として世話を焼くのは当たり前だと思っていたから、改めて言われると少しむず痒い。
たぶん照れているせいでいつもより緩い顔を見せてしまうことになると思ったから、私はあえて伏黒くんの顔を見ないようにしてお礼を言った。
そんなことをした所で、たぶん彼にはバレているだろうけど。
「姉ちゃん、クレープはチョコバナナで良いか……って、何笑ってんだよ二人して」
『いや別に?悠仁は子供っぽいなって、話してただけよ。ね、伏黒くん』
「……ああ、はい。そうすね」
「はあッ!?なんだよ伏黒まで!俺もう高一なんだけど!」
……いやいや。私とはしゃごうとしてくれるうちは、たぶんまだまだ子供だよ。
顔を歪めて不貞腐れている悠仁にバレないように、私は心の中でそう呟いてみた。
·
1374人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いか焼き - 好きです!!! 最高すぎます、、、応援してます!今から2を読んできます!楽しみすぎる…! (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ(プロフ) - 宿儺の声が頭の中で聞こえたらワイある意味死んでう( ´ཫ`)って思いながら見ました←めっちゃ面白いです!!応援してます( ˃ ˂ ) (2022年1月25日 0時) (レス) @page31 id: dce21dc0b1 (このIDを非表示/違反報告)
古椎エゴ(プロフ) - Tomorrowさん» ご指摘ありがとうございます。変換ミスしていたみたいです!知らせていただき助かりました! (2022年1月24日 17時) (レス) id: c3c7b307dc (このIDを非表示/違反報告)
Tomorrow(プロフ) - コメント失礼します。とても面白くて何度も読み返してます!ところでなんですけど、祥子ではなく硝子だった気がします!間違えてたら申し訳ないです! (2022年1月24日 17時) (レス) @page30 id: 81fe567fc7 (このIDを非表示/違反報告)
ミーコ(プロフ) - 面白いです!宿儺推しなのでこの話はとても好きです!がんばって書いてくださいね!応援しています! (2022年1月23日 23時) (レス) id: b974f3c01e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瀛 | 作成日時:2022年1月22日 17時