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△ 夜が明けたら私をあげるよ ページ41










 ザプン、ザプン、という音がする。水中を歩く音だ。そう気のついた途端、一気に目の前で景色がひろがった。真っ暗闇みたいな夜。白い月をぼんやりと映す、鏡のような水面。その中にわたしは足首まで浸からせた状態で突っ立っている。見渡す限り同じ光景が続いていて、まっさらな水平線だった。ためしに水をすくってみると、思ったより粘着質というか、どろついていた。匂いはしない。不思議なことに水に浸かっていても、寒さも感じない。



───そうか。また夢か。



 この世界に来てから、やたらと色々な世界を行き来している。今回の最後の記憶は善逸と眠りについたところかな、と思い出していると、バシャンと水を掻く音がした。音の主の方へ振り向いてみる。うずくまるようにして何かを探す小さい影が見えた。影が顔をあげる。



「……善逸!?」



 思わず駆け寄ると、「お姉さん、なんでおれの名前を?」ってポカンとしてる。バラバラに切り揃えた黒髪も、みすぼらしい着物も、痩せた頬も泥だらけだ。どれほど長い間こうしていたのかを物語っていた。




「こんな夜中に何してるの?」

「こっちのセリフだよ、何してんの。きみ」

「奉公先のお嬢さんが、この辺で高級な髪留めを無くしたしたんだって。それを朝までに探してこいって言われたんだ」

「……ひとりで?」




 ちいさな善逸は困ったように笑った。それが答えなんだろう。いてもたってもいられなくて、着物をまくりあげてから泥水へ足を突っこんだ。こんなことしたところで見つかりっこない。そんなことはわかっている。



「いいって、お姉さん!!」

「一人より二人」

「そんな薄い着物じゃ……」

「他人のことより自分のことを気にしなさい」



 止めてくる善逸のおでこをペンと押し返した。善逸は自分にやさしくない節がある。そんなところが魅力のひとつなんだけど。わたしに叩かれたところを抑えて「お姉さんに言われたくない」とかなんとかブツブツ言ってる。うるせえ。




「……でも、ありがとうね、お姉さん」

△ 大丈夫、大丈夫だから→←△ 善逸の指じゃなきゃ※



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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時

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