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△ 善逸の指じゃなきゃ※ ページ40

「Aちゃん!!」



 善逸はアオイちゃんに怒られながらバタバタと病室へ駆けこんできた。わたしは傷跡が痛むのにも構わず、善逸の胸へ飛びこんだ。窮屈なくらい抱きしめられる。苦しい。けど、その苦しさが心地いい。もっと強く抱きしめてよ。壊れちゃうほどに。ひさしぶりに嗅ぐ善逸の肌の匂いと、あたたかい体温とが、わたしの中を一気に満たしていく。




「やっと会えた……俺、いっぱい話したいことがあるんだ」

「わたしも。何から話せば良いのかわからないくらい」




 夕方五時を告げる時計が鳴るまで、話題は尽きなかった。面会時間のタイムリミットだけど、「お願いだから帰らないで。今日だけは一緒にいてほしいの」ってワガママを言ってみる。善逸はいつもわたしのワガママを聞いてくれた。







 見回りの間はベッドのなかに隠れててもらった。二人でじっと息を殺していると、修学旅行の夜みたいに緊張して、何だかおかしくて、笑いが込み上げた。足音が遠ざかると、顔を見合わせてちょっと笑った。



 善逸はわたしの体の有り様を見て「本当に大丈夫!?治療完了したとはいえ、めっちゃ重症だったんでしょ!?」とすっかり尻込みしちゃったけど、うまく丸め込んだ。




「会えない間、ひとりでしてた?」って訊くと、照れたように目をそらす。「……そう言うAちゃんは?」なんて、ずるいことを返せるようになったんだね。わたしは善逸の太くて大きい指を握る。普段から刀を握る人特有の、たくましい手だ。




「してないよ。善逸の指じゃなきゃ嫌だから。わたしの身体をさぐっていいのは、この指だけ。自分の指じゃ感じられない」




 善逸の耳から首までが一気に赤らむ。うわ言のようにわたしを呼びながら、ずるずると布団のなかに体を埋めていく。




「Aちゃん、俺のこと、愛してる?」

「うん」

「じゃあ、“愛してる”って言って」

「心の音が聞こえるのに?わたしの“愛してる”なんて、もうずっと聞こえてるんでしょ?」

「言葉でほしいんだよ。Aちゃんの口から聞きたいんだ」

△ 夜が明けたら私をあげるよ→←△ 口説け推し柱



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あき - うわぁ、HUNTERHUNTERも書いてくれるなんて……🥹🥹 (2023年1月30日 14時) (レス) @page50 id: 099b645bba (このIDを非表示/違反報告)
まっひぃ - 善逸のそういう所好きだぁー!😁かわええ (2021年11月11日 15時) (レス) @page48 id: d24aae8d9d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみちゃんDX(プロフ) - 今まで読んだ中で一番好き! (2021年10月29日 12時) (レス) id: 0e9cb43b28 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ割り人形 - わあわあ好きだあ途中どうなったのってなったけどちゃんとハピエンで良かったああうわん嬉しすぎて嬉し涙が…というかヒロ◯カの小説も書いていらっしゃるなんて!今すぐ読んできます!あ、この作品めっちゃ良かったです!好きです!(唐突の告白 (2021年9月12日 7時) (レス) id: 7c01fc8068 (このIDを非表示/違反報告)
朝霧 sud .(プロフ) - とっても素敵でした。 (2021年9月9日 15時) (レス) id: a463316156 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:有希 | 作成日時:2019年10月4日 22時

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