九回目 ページ9
裕「じゃあ、なんで二人は会えたんですか？」
春「三成たちのおかげだよ。」
そう言って、春はもう一度両親に視線を戻した。
春「もともとは目的が違ったらしいけど。幸村とか政宗とかと一緒にね。三成と父さんは少し戦ったりしたけど、でもあの人たちは二人のために動いてくれた。」
裕「・・・・・」
春「皆がいなかったら、私もここにいなかったでしょうね。私には、何も出来なかったから。」
裕「でもそれは、」
仕方がない、何も知らなかったんだから。そう言おうとして言葉を飲み込んだ。きっと彼女にとって、そんな簡単に済ませられる話ではないのだろう。
春「見知らぬ私たち家族のために危ない目に合った。二人が死んだとき、私を慰めようともしてくれたし、泣いてくれた。」
裕「あの二人が・・・・泣いた？」
春「あ、Aだけね。さすがに三葉が泣いたとこは想像できないし。」
裕「いやいや、三葉って誰！？」
その時、春がしまったという顔をして慌てて口を塞いだ。・・・・何か匂う。
裕「春さん、誰だよ三葉って！各地の大名でもそんな名前の人聞いたことないぞ？」
春「情報屋なのにこの話も知らなかったもんね。」
裕「うっ・・・・。」
春「・・・・よし、もういいか。」
観念したように春が小さく笑った。
春「母さんは小さい頃に売られて花魁になってたの。父さんは幼馴染だったから、父さんが迎えに行って、そこで私が生まれた。私はね遊郭で育ったの。」
まだ三葉という人は出てこない。女の人らしいが。
春「そんなとこに来れば、三成あの容姿だから目立つでしょ？」
裕「いや・・だから？」
春「だから。」
裕「は？」
春「Aの知り合いにそういうことが可能な科学者がいたんだって。」
裕「・・・え？」
春「鶴姫ちゃんが無理やり飲ませたとか、その薬。」
ようやくわかった。とんでもないことを聞いた。理解はできたが、脳内の一部が認めていない。
裕「え・・・じゃあ、三葉っていうのは偽名？」
春「そうそう。あ、このことは三成に内緒ね。」
残滅されちゃう、と春は愉快そうに笑った。
裕(なんか、すっげーこと聞いたような気がする。)
昔から何をやっているんだ、あの人たちは。不思議でならないし、よくわからない。
でも、初めて。・・・初めて両親の体験談を詳しく聞けた。資料などとは違う、当事者の話。嬉しいとはいえないが、春がここにつれてきた理由がちょっとだけ分かった気がした。
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ななみ(プロフ) - 疾風少女、めっちゃ感動しました〜！何回見ても泣けましたよ(^^♪ 笑えるところもいっぱいでした。頑張ってください(*´∀｀*) (2014年8月29日 10時) (
レス) id: abde43f194 (このIDを非表示/違反報告)
月詠命 - 最近忙しくて、なかなか見れずにいましたが、久々に見れました！やっぱりこの作品とても面白いです！更新頑張ってください！ (2014年8月16日 13時) (レス) id: 257169186b (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - 白鈴さん» すみません、なかなか忙しくて…。応援ありがとうございます！ (2014年5月31日 21時) (レス) id: b7bc56638c (このIDを非表示/違反報告)
白鈴 - (たぶん)はじめまして、白鈴と言います。本編のほうも番外編のほうも、この小説、大好きです！更新、頑張ってください♪応援してます！ (2014年5月8日 19時) (レス) id: c5c1a67bf2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠命 - こちらこそよろしくお願いします。続きを詠めるのを楽しみに待ってます。 (2014年3月3日 21時) (レス) id: 49e70c2b0c (このIDを非表示/違反報告)
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