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十七回目 ページ17

とある村にいた少年がいた。翡翠の目を持つ少年が。

目の色が違う、ただそれだけの理由で少年は幼い身に多くの罰を受けた。

死んでも生きても同じこと。何も考えられず、救いを求める手を伸ばすこともできず少年はただじっと耐えていた。

ある日、少年は自分を大切に思ってくれている人に会った。

初めて少年は必要とされることの喜びを知った。生きていてもいいと知った。初めて、心から笑えた。

だが少年は喜びの報いを受けた。

恨みが、憎しみが、少年の中に募っていく。

力を求めた少年に差し出される一本の刀。使い方次第で何もかも壊すことが出来る力。

少年は自我を失い、刀を振るい続けた。

正気を取り戻したときに手元に残っていたのは一つの狂気と血に塗れた手。そして、全てが壊れた後のその場所。

美「そこで父も・・・。」

美優はあえてその先を言わなかった。Aも口を開かずに黙っていた。目が頷いていた。

裕「叔父さん、恨んで・・・ないの?」

裕也の言葉に、少し意外そうに正澄は目を細めた。

澄「なぜ。」

裕「だって・・・そうやって叔父さんは一族全員殺されたんだろ?いくら自分の弟だからって、そのせいで叔父さんだって・・・!」

自分でもさすがに言いすぎだとは思った。本当に辛かったのは父のほうなのだ。そして、この人も。怒っているのだろう、こんな勝手なことを言われて。だが、正澄の顔の浮かんでいたのは穏やかな表情だけだった。

澄「他人から見ればそう思われても仕方ありません。でも、彼の傷を植え付けたのはこちらなんですよ。間違っていたのは私たちのほうです。」

裕「叔父さんは関係ないじゃないか。なんで、いつまでもそうやって重荷を背負おうと・・・。」

正澄はそれ以上何も言わなかった。そして、裕也も何も言えなかった。

裕「叔父さん、父さんと会えたときどう思ったの?」

澄「嬉しかったですよ、素直に。佐吉が生きていてくれて良かったと。でも、私に会うことであの時のことを思い出すのではないかと思っていました。そうなるぐらいなら会わないほうが良いかと。」

裕「でも父さんは・・・。」

澄「わかっていますよ。」

正澄はまたいつものように微笑んだ。三成とて、この人に会えたのが嬉しかったのだ。

そして裕也は叔父を見ながら思う。この人も辛かったのだと。

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ななみ(プロフ) - 疾風少女、めっちゃ感動しました〜!何回見ても泣けましたよ(^^♪ 笑えるところもいっぱいでした。頑張ってください(*´∀`*)  (2014年8月29日 10時) (レス) id: abde43f194 (このIDを非表示/違反報告)
月詠命 - 最近忙しくて、なかなか見れずにいましたが、久々に見れました!やっぱりこの作品とても面白いです!更新頑張ってください! (2014年8月16日 13時) (レス) id: 257169186b (このIDを非表示/違反報告)
桜楼(プロフ) - 白鈴さん» すみません、なかなか忙しくて…。応援ありがとうございます! (2014年5月31日 21時) (レス) id: b7bc56638c (このIDを非表示/違反報告)
白鈴 - (たぶん)はじめまして、白鈴と言います。本編のほうも番外編のほうも、この小説、大好きです!更新、頑張ってください♪応援してます! (2014年5月8日 19時) (レス) id: c5c1a67bf2 (このIDを非表示/違反報告)
月詠命 - こちらこそよろしくお願いします。続きを詠めるのを楽しみに待ってます。 (2014年3月3日 21時) (レス) id: 49e70c2b0c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:桜楼 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年3月2日 19時

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